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2014/04/15

「技術」に該当する活動

 「技術」は、入管法で「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学、その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動」と規定されています。例えば、機械の製作についていえば、機械を設計し又はその組立を指揮する活動、建物の建築では建物を設計しまたはその建築工事を指揮監督する活動です。

 自然科学の分野の科目を専攻して大学を卒業し、従事する業務が、技術職そのものでなくとも、自然科学の分野に属する知識を要する販売業務、いわゆる技術営業や、総合職的な業務であれば、「人文知識・国際業務」の在留資格ではなく、「技術」の在留資格に該当します。逆に、コンピュータソフトウエア開発は、一見して理科系分野の活動と見なされがちですが、人文科学の分野の科目を専攻して大学を卒業し、その専攻科目の知識を必要とするコンピュータソフトウエア開発などの業務に従事する場合は、「技術」ではなく「人文知識・国際業務」の在留資格に該当します。

「企業内転勤」

 「企業内転勤」は、企業活動の国際的展開に対応し、人事異動により外国の事業所から日本の事業所に転勤する専門技術者等を受け入れるために設けられた在留資格です。例えば、海外にある子会社や現地法人等の関連会社から日本の法人に出向してくる外国人、海外にある本社から日本支社に転勤してくる外国人等が想定されています。新たに外国人を雇用するよりも、外国人社員を転勤させた方が、適切で優秀な社員を確実に日本における業務に従事させることができ、人件費コストも安くなるというメリットがあります。また、海外の子会社における開発責任者や設計責任者等を日本において勤務させ、その間に、新製品や新技術の開発に従事させることもできます。「技術」や「人文知識・国際業務」で要求される学歴要件や実務要件は求められず、海外にある関連会社等で直前に継続して1年以上、「技術」や「人文知識・国際業務」に該当する業務を行っていれば足ります。

 「企業内転勤」は、一定の転勤期間を定めた活動であり、無期限に日本に滞在することを想定している在留資格ではありません。また、「技術」や「人文知識・国際業務」の在留資格を持ち在留している外国人は、別の会社に転職することができる可能性があるのに対し、企業内転勤では転職ができません。しかし、特定の事業所においてではあるものの、「技術」に基づき行うことができる活動と、「人文知識・国際業務」に基づき行うことができる活動の両方を行うことができます。

「技能」に該当する活動

 「技能」の在留資格は、日本経済の国際化の進展に対応し、熟練技能労働者を外国から受け入れるために設けられたものです。具体的には、外国料理の調理、外国で考案された工法による住宅の建築、宝石・貴金属・毛皮の加工、動物の調教、航空機の操縦、スポーツの指導、ぶどう酒の品質の鑑定・評価等の熟練した技能を要する業務に従事する外国人がこの在留資格で在留しています。

 「技術」と「技能」の区別については、「技術」は一定事項について学術上の素養等の条件を定めて理論を実際に応用して処理する能力をいい、「技能」は一定事項について主として個人が自己の経験の蓄積によって有している能力を指します。上陸許可基準のうち「技術」や「技能」の習得判定基準としては、いずれも十年の実務経験(「技能」の一部ではより短期間でも可能)が必要としていますが、「技術」については当該技術もしくは知識に係る科目を専攻して大学を卒業していることでも満たしているとしています。

2014/03/15

該当する活動

 「人文知識・国際業務」とは、①「人文知識」のカテゴリーと②「国際業務」のカテゴリーを合わせて規定した、業務を限定して就労可能とする在留資格です。「人文知識」のカテゴリーは、経理、金融、総合職、会計、コンサルタント等の学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的知識を必要とする文科系の活動を言います。「国際業務」のカテゴリーは、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイン、商品開発等の外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を必要とする文科系の活動を言います。

 いずれも一定水準以上のという文言があるのは、単純労働は許されないという裏返しの表現と見ることができます。例えば、美術系大学や専門学校等で撮影技術を学んだ留学生が、卒業後、カメラマンの業務に従事する場合、映画製作会社の撮影業務に従事する場合は専門知識を必要とする業務と認められ許可の可能性がありますが、結婚式場のカメラマンの業務は、特別な知識を必要としない単純就労であると判断され不許可となることが多いようです。また、外国人客の利用があるホテルにおいて、ホテルマンとして外国人客の案内等の通訳業務に従事する場合、フロント業務には利用者の印象を決定づけ、利用者からの苦情・お願いを受け適切な処理をするにあたり外国語能力を必要とすることや、海外客の新規市場開拓に必要な知識を申請人が有していること等を証明できれば、高級なリソートホテルや観光ホテルでは許可される可能性がありますが、ビジネスホテルでは困難と思われます。

許可を得るための要件

 まず、国公立の機関以外の機関との契約に基づいて業務に従事する場合は、当該機関の事業が適正に行われるものでなければなりません。例えば、労働者派遣事業を営む企業等に就職する外国人に係る申請については、雇用しようとする外国人の予定職務に係る業種について、労働者派遣法に基づく厚生労働大臣の許可を得ていることや(一般労働者派遣事業の場合)、届出(特定労働者派遣事業の場合)を行っていることが要件となります。また、安全性及び継続性の観点からは、機関の売上の多寡、利益の多寡、組織形態、組織規模、設立年度等が重要です。

 「人文知識」のカテゴリーでは、学歴要件(従事しようとする業務について、これに必要な知識に係る科目を専攻して大学を卒業しもしくはこれと同等以上の教育を受けたこと)と実務要件(従事しようとする業務について十年以上の実務経験により、当該知識を修得していること)のいずれかに該当していることが求められます。学歴要件の「大学」とは、学士又は短期大学士以上の学位を取得した者をいいます。専修学校で「高度専門士」の称号を得た者や高等専門学校の卒業生も含まれます(専修学校の「専門士」の称号を有していても上陸のための「認定」は受けられませんが、他の在留資格からの「変更」が許可されることはあります)。

 国際業務のカテゴリーでは、業務内容要件(翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾もしくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること)と実務要件(従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、実務要件は不要)のいずれにも該当していることが必要です。
また、両カテゴリーに共通して、申請人が受ける報酬は「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であることが必要です。

2014/02/15

該当する活動

 「投資・経営」の在留資格は、貿易の自由化、資本の自由化等の世界経済の自由化に対応し、外資系企業の経営者、管理者等を外国から受け入れるために設けられたものです。つまり、「投資・経営」の在留資格が想定しているのは、いわゆる外資系企業であって、外国人又は外国法人による投資がなされていない純粋な日本企業においては、「投資・経営」の在留資格はありえません。

 「投資・経営」の在留資格を得るためには、申請者本人が相当額の投資をして、経営又は管理の活動をするか、または、事業の設立者又は投資者が海外にいる場合にこれらの外国人に代わってその事業の経営又は管理をする場合が該当します。外資系企業の日本法人や日本支店に、管理職として来日する外国人については、「投資・経営」だけではなく、「企業内転勤」にも該当し得ます。

 投資経営の在留資格に該当する活動は、具体的には事業の運営に関する重要事項の決定、業務の執行もしくは監査の業務に従事する社長、取締役、監査役等の役員としての活動又は事業の管理の業務に従事する部長、工場長、支店長等の管理者としての活動が該当します。

事業の安定性・継続性

 申請人が一時的に株式を取得したにすぎない場合や、投資額が相当額に達しない場合は、「投資・経営」の在留資格の対象とはなりません。「相当額の投資」については、最低でも500万円以上の投資が必要となります。この額は、「経営又は管理に従事する者以外に2人以上の本邦に居住する者で常勤の職員が従事して営まれる規模」(上陸許可基準)と考えられています。一般には、会社の事業資金であっても会社の借金は直ちには投資された金額とはなりえませんが、その外国人が当該借入金について個人保証をしている等の特別の事情があれば、本人の投資額と見る余地もあります。

 事業の安定性及び継続性を立証するための異業計画書の作成はとても重要であり、なぜ当該事業がうまく安定的に立ち行くといえるのか、商品仕入れルート、販売ルート、価格設定の合理性、特殊なノウハウや人脈の保有、経営に必要な知識や語学力の保有、関連業務経験の存在、具体的な数字による収支見積もり等、できる限り具体的に記載する必要があります。それらを裏付ける資料も積極的に提出すべきです。

また、外国人2名がそれぞれ500万円以上を出資した上、ともに新設する会社の役員になったからといって、両名ともに「投資・経営」の在留資格が認められるわけではありません。会社の事業規模、業務量がそれほど大きくない場合等は、一名しか「投資・経営」の在留資格が認められない可能性は十分にあります。

投資金額の形成過程の審査

 外国からの留学生が大学等に在学しているとき等から起業の準備をして「投資・経営」の在留資格を取得すべく投資した多額の金銭については、その形成過程が厳しく審査されます。留学の在留資格で在留している間の違法な資格外活動によって得た金銭が原資となっているのではないかが審査されますので、投資額をどのように調達したのかについて合理的な説明を行なうことが重要です。

 留学生以外の者が新規に事業を行なう場合も、投資した金銭の形成過程を問題とされ、申請者自身が投資したことの立証を求められることが通常です。そのような場合は、海外から送金したことが明らかとなる銀行口座の通帳の写しや送金書の写し等により立証することとなります。立証上の観点からは、会社設立に係る資本金は振込送金によることが望ましいようです。

2014/01/15

「定住者」と「永住者」

 「定住者」の在留資格に該当する活動は、法務大臣が特別の理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者としての活動です。在留中に行うことができる活動の範囲に制限はありません。「定住者」と「永住者」とは、日本に在留中に行うことができる活動の範囲の制限がないこと及び法務大臣が特別の理由を考慮して居住を認める地位であることにおいて共通しますが、「永住者」は無期限に日本に在留できるのに対して、「定住者」は一定の在留期間が指定される点において異なります。

 在留資格認定証明書の交付に際して入国審査官が「定住者」の在留資格を決定できるのは、法務大臣が告示をもってあらかじめ定める地位を有する者としての活動を行おうとする外国人の場合に限られます(告示定住)。それ以外の場合は、在留資格認定証明書の交付は得られず、他の在留資格からの在留資格変更により定住者の在留資格を得ることになります。

告示定住

 法務大臣が定住者告示をもってあらかじめ定める地位は、第1号から第8号まであります。「日本人の子として出生した者の実子であって素行が善良である者に係るもの」(3号)、及び「日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子であって素行が善良であるものに係るもの」(4号)は、日系二世及び三世を定住者として受け入れるための規定です。日系人は結局、①日系二世、②三世及び③四世のうち三世の扶養を受けて生活する未成年、未婚の実子までが定住者告示による上陸、在留が認められます。ただし、四世については年齢が高くなるにつれて、「定住者」での上陸不許可となる可能性が高くなります。

 連れ子の在留資格については、連れ子の実親の在留資格により異なります。実親が「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を持って在留する場合は、当該配偶者の実子(離婚又は死亡した配偶者との間の子及び非嫡出子)は「定住者」の在留資格が得られます。就労資格で在留する外国人の配偶者(「家族滞在」の在留資格が得られます)の連れ子は、当該連れ子と就労資格で在留する外国人とが養子縁組をする場合は「家族滞在」が得られますが、養子縁組をしない場合は、「短期滞在」での上陸後に「特定活動」に在留資格を変更することになります。

告示外定住

 日本人、「永住者」又は特別永住者である配偶者と離婚又は死別した後も引き続き日本に在留することを希望する外国人の場合、それらの者との間に出生した子がいなくとも、実態のある婚姻期間が3年程度以上継続していた事実があり、かつ独立した生計を営むに足りる資産又は技能を有するのであれば、「定住者」の在留資格が認められる可能性が高いです。配偶者によるDV被害が原因で離婚に至ったような場合には、可能性がより高くなります。

 日本人との間で出生した子(「日本人の実子」)を離婚・死別後に日本国内において監護養育する外国人の場合は、日本人との婚姻期間が3年程度に満たなくても、「定住者」への在留資格変更が許可されることが多いです。「日本人の実子」とは、嫡出・非嫡出を問わず、子の出生時点においてその父又は母が日本国籍を有している者をいいます。実子の日本国籍の有無は問いませんが、日本国籍を有しない非嫡出子については、日本人父から認知されていることが必要です。現在の実務運用では、妻がいる日本人父の愛人として外国人母が出産した実子も対象となります。

2013/12/15

永住許可は「在留資格変更申請」により取得する

 在留資格「永住者」は、在留活動、在留期間のいずれも制限されないという点で、他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。

 外国人が初めて得る在留資格は、永住者の子として出生した時に得る場合(通常「取得永住」と呼ばれているようです)を除けば、通常「永住者」ではありません。就労資格や身分に関連する資格を認められ日本に入国した後、一定期間の日本での在留実績を積んだ後、初めて「永住者」の在留資格に変更してもらうべく「在留資格変更申請」をするのが通常です。

 通常、「在留資格変更申請」をいったんすれば、申請後に在留期限が来ても「在留期間更新申請」をする必要はありません。しかし、「永住者」への資格変更申請をするときは、そうではありません。在留期間満了日以前に、別途「在留期間更新申請」をしなければなりません。結果が出るまでの期間も、一般の「在留資格変更申請」の場合は、長くても2~3カ月であるのに対し、「永住者」への「在留資格変更申請」の場合は短くても5~6カ月はかかります。

 永住許可については、通常の在留資格の変更よりも慎重に審査する必要があることから、一般の「在留資格変更許可手続」とは異なる特別の規定が設けられており、「在留期間更新申請」では審査されないことまでさかのぼって審査されます。

永住許可の要件と日本在留期間の特例

 永住許可を得るための法律的要件は次の三つです。

⑴素行善良要件…日本の法令に違反して懲役、禁固に処せられ執行を終え10年たっていなかったり、道路交通法違反等軽微な法違反でも繰り返し行うと許可されません。

⑵独立生計要件…申請者とその配偶者が構成する世帯単位で見て安定した生活を今後とも続けることができること

⑶国益適合要件…罰金刑・懲役刑等を受けておらず納税義務等の公的義務を履行していること、現に有している在留資格の最長の在留期間を持って在留していること等の他に、原則として継続して10年以上日本に在留していることが必要です(「継続して」とは、在留資格が途切れることなく在留を続けることです。再入国許可を得て一次的に海外に赴くときは在留が継続していることになります。)また、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって継続して5年以上在留していることを要します。この10年以上日本在留という要件には次のような特例があり条件が緩和されています。
①日本人、「永住者」又は特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き一年以上日本に在留していること
②「定住者」、難民の認定を受けた者、外交、社会、経済、文化等の分野において日本国への貢献があると認められる者の場合は、いずれも5年以上継続して日本に在留していること
 なお、⑴素行善良要件、⑵独立生計要件については、日本人、「永住者」又は特別永住者の配偶者又は子の場合、免除されると規定されています(前科前歴は素行善良要件では審査されなくても、国益適合要件では審査されます)

立証資料

 申請人の配偶者の戸籍謄本や、申請人が「永住者の配偶者」である場合は配偶者との婚姻証明書等により身分関係を証明します。また、在職証明書や自営業の場合は確定申告書控えの写しで家計維持者の職業を、直近(申請人が「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の場合は過去一年分、それ以外の場合は過去3年分)の課税証明書、納税証明書を提出します。永住許可申請をする理由を詳細に説明することも重要です。

2013/11/15

在留資格該当性

 「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者、日本人の特別養子(六歳未満で普通養子でないもの)、日本人の子として出生した者という身分又は地位を有する者としての活動が該当します。

 件数から言えば、日本人の配偶者が申請人であることがもっと多いと思われます。例えば、就労資格を持って日本の会社に勤務している外国人が日本人と結婚して日本人の配偶者となった場合、「日本人の配偶者等」の在留資格への変更申請をすることができます。就労資格では、その在留資格が許可する活動しかすることができません(資格外活動許可を得ている場合はその活動もすることができます)が、「日本人の配偶者」は就労資格ではなく身分や地位に基づく在留資格であり、活動の範囲に制限がありません。

 しかし、日本人の配偶者であるからと言って、日本に在留するときは必ず「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていなければならないというわけではありません。夫婦関係が悪く離婚する可能性が高いと判断した外国人の中には、離婚後も日本に継続して在留できるようにと、「投資経営」等の別の在留資格にあえて変更しようとする人もいます。

 「短期滞在」から「日本人の配偶者等」への変更の場合は、以前の日本在留期間中に日本人配偶者と交際歴がある場合は許可される可能性がありますが、「短期滞在」で日本に来てから日本人配偶者と知り合い婚姻手続きをした場合は、交際の経緯に疑念を持たれることが多く、いったん帰国してから在留資格認定証明書を得るか、「短期滞在」で日本に在留中に在留資格認定証明書を得てその後変更申請する方が良いようです。

 また、平成21年改正入管法では、配偶者の身分を有する者としての活動を6カ月以上行わないで在留することは、在留資格取消制度の対象となりました。離婚等によりそのような状態になったときは、速やかにその旨を入国管理局に届け出なければなりません。

婚姻実態が問われる

「日本人の配偶者等」の在留資格を持って日本に在留するためには、単にその日本人配 偶者との間に法律上有効な婚姻関係にあるだけでは足りず、実際に同居しているか等の婚姻実態が問われます。より本質的なことを言えば、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思を持って共同生活を営むことを本質とする婚姻という特別な身分関係を有する者として活動しようとしているかが問われます。ただし、婚姻関係が冷却し、同居・相互の協力扶助の活動が事実上行われなくなっていても、いまだその状態が固定化しておらず、離婚調停や離婚訴訟が継続し、婚姻関係が修復する余地がないとまでは言えないときなどは、在留資格該当性は依然として存続していると解される場合もあります。

立証資料

 まず配偶者(日本人)の戸籍謄本、及び申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書が必要です。また、配偶者の住民税の納税証明書、課税証明書、申請人に対する身元保証書が必要です。ただ、必ず日本人配偶者が申請人を扶養しなければならないということはなく、申請人の就労で、または申請人と配偶者の双方の就労で家計を維持していても構いません。身元保証人は配偶者がなるのがベストですが、それ以外の者がなることは可能です(経緯説明が必要です)。他に、入管が用意している「質問書」を埋め、婚姻に至った経緯を詳しく記述します。準備した申請書類一式を何度も見直して、少しでも疑われそうなところは、その疑いを晴らすべく積極的に説明しないと許可はもらえません。

2013/10/15

在留資格制度

 一般の日本人にとって、日本国内で生活することは当たり前のことですが、外国人にとってはそうではありません。何らかの理由が必要であり、その理由を形にした在留資格を持っていないと不法滞在者となり、刑事罰が適用されかねません。27種類の在留資格がありますが、同時に持つことができるのは一つの在留資格だけです(一在留一在留資格の原則)。また、在留資格には必ず在留期間(最短15日、最長5年)がついています。

在留資格の種類

 在留資格は大雑把に言うと、活動内容に応じて与えられるものと、身分や地位に応じて与えられるものに大別されます。

 前者では、経理、金融、会計等や通訳、翻訳、海外取引業務、商品開発等の専門能力を必要とする文科系の活動に対する「人文知識・国際業務」、情報工学の技術・知識や精密機械器具や土木・建設機械等の設計・開発等の技術系の専門職に対する「技術」、外国料理の調理、宝石・貴金属・毛皮の加工、動物の調教、スポーツの指導、ワインの鑑定等の熟練した技能を要する業務に対する「技能」、外資系企業の経営者・管理者の活動に対する「投資・経営」、日本の事業所の業務に従事し技能・技術・知識を習得する活動に対する「技能実習」、日本の大学や高等学校等において教育を受ける活動に対する「留学」、一定の在留資格を持って日本に滞在する外国人の扶養家族を受け入れるための「家族滞在」が代表的です。

 後者では、日本人の配偶者、日本人の特別養子又は日本人の子として出生した者に対する「日本人の配偶者等」、在留活動、在留期間のいずれも制限されることのない「永住者」、永住者や特別永住者の配偶者又は永住者や特別永住者の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留する者に対する「永住者の配偶者等」、特別な理由を考慮して居住を認めるのが相当である外国人に対する「定住者」、在留資格決定の判断基準となる活動として類型化されていない活動をする外国人に対する「特定活動」が代表的です。

 これら中長期の在留資格の他に90日以内の短期間日本に滞在して観光、親族訪問、短期商用を行う者にたいして「短期滞在」があります。

裁量性が大きい行政行為

 外国人は、このような在留資格に関する手続を安易に考えがちです。例えば、日本人と結婚した外国人は、戸籍謄本や結婚証明書を提出して日本人の配偶者であることを証明しさえすれば、許可をもらえると考えがちです。しかし、現実はそうではありません。入国管理局という役所は、偽装結婚ではないかという視点で見ますので、所得課税証明書や確定申告書の控えの写し等で扶養能力を証明するだけではなく、どのように出会いどのような交流をして結婚の意思を決めたのかということを、スナップ写真、メールや手紙のやり取りの記録をもとに詳細に説明をしなければなりません。交流期間が短いときは、より詳細な説明が必要です。

 入管の判断は、裁量性の大きい判断です。入管の審査官は、自分の心証で有罪か無罪かを決める裁判官さながら、許可か不許可を決めているように感じることもあります。

 日本は今後、多文化共生の道を模索していかなければ国際社会の中で名誉ある地位を得ることは難しくなるでしょう。反面、不良外国人によって日本の国土や社会が荒らされてしまうことになっては元も子もあり于ません。外国人をどのように受け入れ、どのように共に生活していくのかをよく考えなければなりませんが、在留資格制度はその重要な根幹をなす制度です。次号からその詳細を見ていきます。