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2010/05/15

 主として特許権について、侵害に対する攻撃と、侵害の主張に対する防御について述べ、他の知的財産権についても触れます。

侵害に対する攻撃

 特許権の侵害行為とは、権限なく第3者が特許発明を実施することです。特許権者は、自らの権利を侵害されたと考えたならば、その権利範囲を客観的に解釈し、相手の侵害の事実を正確に把握するようにします。そして、権利が侵害されていると判断されれば、次のような措置を取ることが検討されます。

①製造・販売・貸与・使用・輸出・輸入等の各差止請求
②損害賠償請求
 特許法では損害額について、侵害者が侵害物を譲渡したきは、譲渡数量に特許権者の販売物の単位数量当たり利益額を乗じた額、侵害者が侵害行為によって利益を受けているときはその利益額などと定めています。米国では、意図的な侵害などの場合に、認定された賠償額の3倍までの増額ができるとされています。
③不当利得返還請求
 損害賠償の請求と不当利得の請求は、同時に両方ともできますが、実際には、不当利得返還請求権の時効期間が10年なので、損害賠償請求が3年の時効にかかった場合に有用です。

知的財産法・関連法に基づく請求の特徴

 知的財産権の侵害行為は、①特許法、②実用新案法、③意匠法、④商標法、⑤著作権法、⑥不当競争防止法によって、刑事罰と民事上の差止や損害賠償請求ができます。⑦民法に基づいては、損害賠償の請求しかできません。したがって、例えば、営業上の表示関係で紛争が生じたというケースならば、できるだけ④商標権、③意匠権等で対処をし、それがダメなら⑤著作権で考え、さらにダメなら⑥不正競争防止法に元づいて相手方の行為を止められないかという風に考えます。もちろん、これらを組み合わせて使うことも可能です。いずれでもダメならやむを得ず⑦民法(不法行為)によるしかありません。

侵害の主張に対する防御・反撃

 特許権侵害の警告を受けた場合は、冷静に、特許庁の登録原簿、特許公報により相手の特許を調査します。また、出願から登録までの出願経過も調べます。相手主張の侵害理由が不明確であるときは、具体的な説明を求める回答をします。

 そして、先使用権の主張(他人の特許出願の際、その発明の実施である事業またはその準備をしている者は、実施または準備している発明及び事業の目的の範囲内で、通常実施権を有します)ができるかを検討し、必要なら特許庁に無効審判の請求(登録の要件を欠くにもかかわらず登録されているとき、特許庁に対し登録の無効を求めること)をし、包袋禁反言(ほうたいきんはんげん)の主張(権利者の出願過程での言動に反する主張は認めないとする論理)も検討します。当方が権利侵害をしているならば、相手特許を回避する方法を探したり、相手に実施料を支払って実施許可を受けるように交渉するなどの措置が考えられます。

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