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2018/03/07

 出版不況の中にあって、ひとり絵本だけが売り上げを伸ばしているという。その原因は何だろうか。一般書籍がパソコン画面やスマートフォン画面で読むことが普及してきたが、絵本は電子化に馴染まない。大人が幼児の後ろに座り、絵本を幼児に見せ読み聞かせるのが一番良い方法だ。0歳児や1歳児は絵本の話の内容よりも絵本の材質に関心を持ち、たたいたりなめたりするが、紙媒体であればそれに耐えられる。

 もう一つの原因は大人向けの絵本が出てきていることかもしれない。『りゆうがあります』(ヨシタケシンスケ著)は、子どもがする独創的な言い訳が母親に伝染している様子を描いており、子育てが楽しくなる。『つぶっこちゃん』(つつみあれい著)は、小さな豆などをのどに詰まらせることがないようにと、小児科医が作ったもので、リズミカルな文体で親に注意を促している。

 子供の時に親に読み聞かせてもらった絵本は、大人になって読み返すと親に愛してもらった思いがよみがえり、困難の中でも生きる意欲を与えてくれそうだ。そのような本は自分の子や孫にも読んであげたい。読み聞かせてくれる親がよく見えない小さな幼児にとって、親の印象は自分を見つめる大きな目なので、漫画などで登場人物の目が異様に大きくても違和感を感じないのだという。絵本によっては登場人物の顔の輪郭が母親の乳房の輪郭だったりする。

 昨年私と同じ誕生日に生まれた初孫には、生後6カ月くらいから声に出して読みたい日本語シリーズの『どっどどどどどうど雨ニモマケズ』(宮沢賢治原作)や、ロシアの昔話『おおきなかぶ』(トルストイ原作)の読み聞かせを毎日のようにしてあげた。

 今月、富山県民会館で「絵本と私の物語展」が開催され、見てきた。300種700冊が一堂に会した充実した絵本展だった。数日してそこで見た一冊が心を大きく占めるようになってきた。『どんどんどんどん』(片山健)だ。少年がひとりで、猛獣の住む草原も、クジラのいる海の中も、車が行き交う都会の中も、銃弾飛び交う戦場さえも、どんどんどんどん歩いていき、少し疲れて浜辺で砂遊びをして、また歩き始めるという話だ。迫力ある絵が心に残ったのだろう。継続を支える精神性をもらった気がする。

 その後、射水市の大島絵本館を訪れる機会があったので、この本があるかと尋ねたら、2~3分で持ってきてくださり、懐かしい友に会ったような気がした。この絵本館は日本と外国の絵本一万冊を蔵しているという。仕掛け絵本、布製絵本、巨大絵本等がある。自分で絵本を作りそこで展示できるようにもなっていて、豊かな絵本文化を生み出してくれそうだ。

 絵本ブームの仕掛け人の一人は柳田邦男氏(ノンフィクション作家)だろう。同氏著『大人が絵本に涙する時』(平凡社)で知った『鹿よ おれの兄弟よ』は、ロシアの森林で鹿と共に生きる漁師の生活が美しく迫力ある絵で描かれた、日本人とロシア人の共同制作であり、座右の絵本となった。

2018/02/15

 米国は、建国以降の歴史は短く、世界各国に対する影響力の大きさや影響の与え方に対する根強い反発はあるものの、清教徒が希望をもって新天地で神の国を作るという建国精神を持っており、大統領の就任演説や一般教書演説を聞くと、その香りを感じる。

 32代大統領F・ルーズベルト(1933年就任、民主党)の就任前の1929年にアメリカは大恐慌に見舞われ世界中を巻き込んだ。1933年のアメリカの失業率は25%で1200万人の失業者が巷にあふれた。将来に不安を感じる国民を前にF・ルーズベルトは「the only thing we have to fear is fear itself」(我々が恐れなければならないものは恐れそれ自身である)と警告し、非理性的で不条理な恐怖心それ自体が前進に必要な努力を無にするのだと呼びかけた。

 35代大統領ジョン・F・ケネディ(1961年就任、民主党)は、冷戦で東西対立が厳しい時代に就任し、自由の価値と自由を守り発展させるために人々がなすべき行動をアメリカと世界の人々に呼び掛けた。「my fellow Americans: ask not what your country can do for you -- ask what you can do for your country」(わが同胞アメリカ国民よ、国が諸君のために何ができるかを問うのではなく、諸君が国のために何ができるかを問うてほしい)と求めるだけでなく、「私たちが諸君に求めることと同じだけの
高い水準の強さと犠牲を私たちに求めてほしい」と意欲を示した。

 40代大統領ロナルド・レーガン(1981年就任、共和党)は、アメリカが苦しんでいる経済危機は短い年月では解決できずとも、アメリカ国民には自由を守るためにすべきことをする能力があるとして、「government is not the solution to our problem, government is the problem」(政府が我々の問題を解決するのではなく、政府自体が問題である)として、民間活力を呼び起こすべく大型減税をした。

 45代大統領ドナルド・トランプ(2017年就任、共和党)の就任演説はアメリカ再建とアメリカ第一主義を唱える短いものだったが、就任一年後の一般教書演説は、「貿易関係は公正さと互恵的であることが大切」や「脅威に対し弱さは争いを呼び込み比類なき力が防衛の確実な手段になる」などの認識のもと、「in America, we know that the faith and family, not government and bureaucracy , are the center of American life」(我々米国人は米国の生活の中心が政府や官僚制度ではなく、信仰と家族だと知っている)と、アメリカの伝統に帰ることを訴えた。

 トランプ大統領に対しては、世界を振り回す「異端児」と見られる面もあるが、米社会の左傾化・世俗化を加速させたオバマ前大統領の路線を明確に否定・転換したトランプ氏に対し、キリスト教福音派を中心とする宗教保守派からは称賛が続いている。

2018/01/15

 男女の違いを考えるとき、大きな差のひとつはコミュニケーションのありようだ。女性同士の話し合いでは、大きな声量と情熱で速射砲のように言葉が飛び交う。テーマを決めて始まった話し合いでも、基本的には思いついたことは何でも口にする。私はこのようなやり方は不効率だと思っていた。話し合いの前に、テーマ、目的、終了時のゴールイメージ等について合意してから始めるのが良いと思っていた。しかし、最近はその考え方が変わった。

 話し合いが始まるや、直接・間接に得た情報が短時間のうちに一気に出された方が、男性中心の事業に関する話し合い等でテーマから外れていると思い言わずにいたが、後になって多少テーマからずれたことも含めて考えた方が良いと分かり、再度話し合いを始めるよりも、ずっと効率的と言えることが分かったからだ。

 コミュニケーションのあり方よりも顕著な男女差は生殖器官の差だ。妊娠と出産は女性に課される大きな課題だ。10カ月前後の間、自分の体内で動く新しい命の躍動を感じ、夫や家族、親族、地域の人々の視線を感じつつ、行動を慎重にし、口にする物や環境にも配慮しなければならない。夫にとっても人生の重要事態であることに変わりはないものの、自分の体内に新しい命の存在を感じるわけでもなく、仕事や趣味に没頭しそのことをすっかり忘れることも可能だ。

 社会に男女の区別や性差の意識があるために役割分業も発生するから、男女を分ける制度を失くしてしまおうという考え方のもとに、男女の差異そのものを否定・相対化してしまおうと考えるジェンダーフリー思想の信奉者の中には、妊娠出産における男女差は微々たるものと主張する人がいるが、そんなことはあり得ない。

 「フリーセックスの結果、まちがって子どもができて、こっそり手術をしてもらうのも女だし、経口避妊薬の副作用で病気になるのも女だ。男ばっかりが得をする世界で、恋愛でだけ平等だとおもうのはよほど計算によわいのだ。」(松田道雄著『恋愛なんかやめておけ』)

 小児期の子どもが、心と体の性別が一致しない性同一性障害(性別違和)を抱いても、成人するまでに七~九割は解消するという。性の不一致に苦しむ子供に性別適合手術を受けさせ、その後「そのように思い込んでしまったが誤りだった」と後悔し、戸籍上は元の性に戻せたとしても、生殖の機能を取り戻すことはできない。

 同性婚が合法となり、本人たちはそれでよくても、同性カップルによる育児、つまり父親2人、または母親2人による育児を認めると、そのような特殊な環境を子供自身が選べるわけでもなく、情緒的な問題の発生が報告されているという。

 女性のコミュニケーション能力が男性よりも優れていると言われているが、右脳と左脳をつなぐ脳梁と呼ばれる部分が、女性の方が男性よりも大きいことがその原因らしい。男女の違いは、生理的、物理的な違いを中心において考えるのが賢明なようだ。