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This is the archive for July 2011

2011/07/15

 私という存在は偶然的なことがらなのか、それとも何らかの前提なり計画があって存在するようになった必然的なことがらなのだろうか。

 例えば、数千年も前に地球に巨大な隕石が偶然に衝突した影響で生態環境が全地球的に一変し、それまで地球の覇者だった恐竜が絶滅して人間の先祖の哺乳類が生き延びた結果、人間が誕生した、という説がある。その説を信じる人にとっては、人間の存在は偶然の存在にすぎないだろう。

 また、形質が突然変異し環境に適応したものが生き残る、というダーウィンの進化論を信じる人にとっては、人間の手足の指が4本でも6本でもなく5本であることは、たまたま五本指のものが生き残ることに適していた結果であり、偶然のできごとと考えるのではなかろうか。

 一方、私が存在していることは必然であるとする考え方もある。

 神が貸してくれた宇宙製造機械には重力や電磁気力の大きさを変えることができるツマミがついていて、そのツマミの調整がきわめて正確なので、われわれはこの宇宙に住んでいるのであって、少しでも狂うとこの宇宙は興味ある何物も生み出さない不毛のものとなる、という「人間原理」という考え方がある。この考え方によれば、「この宇宙があって人間がいるのではない、人間がいるから、いや、人間がこの宇宙を認識するから、この宇宙は『こういう宇宙』になっている」(長沼毅著『宇宙がよろこぶ生命論』ちくまプリマー新書)という。この考え方によれば、あたかも神は人間の存在を前提に宇宙を創造したともとれ、人間は偶然の産物とは対極にある必然の極致となり、特別な存在となる。

 このような形而上学の議論に対しては、興味を抱く人たちがいる半面、何の関心も示さない人も多い。「自分の存在が偶然だろうが必然だろうが、生きている現実を直視して日常の責任を果たし楽しく生きていけばそれで良いではないか」という意見が聞こえてきそうだ。

 ちなみに私は、自分の存在や日々の活動の内実が偶然と考えるよりは、必然と感じて生きる方が、使命感を感じやすく充実した人生を送れるのではないかと思う。

 例えば、何か特定の職業についているとして、いろいろな職業に偶然に出会って、採用条件や雇用環境に自分が適合した職場にたまたま勤めていると考えるよりは、職業とはcalling(「召命」転じて「天職」)、つまりその仕事をすべく神から呼ばれたものであって、自分でしか世界に貢献できない内容があるとして、何らかの必然性を感じながら職責を全うしていこうとする方が、自己の価値を感じられるのではないか。

 人生における偶然を全否定するものではないが、その際も、「『偶然』は自由の徴(しるし)であって、目的がないこととはちがう」(ジョン・ポーキングホーン著『科学者は神を信じられるか』講談社ブルーバックス)ことを肝に銘じておきたい。
財務会計(制度会計)と管理会計(経営会計)

 財務諸表の重要なものとして、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書があります。貸借対照表は、ある一時点において、その会社にどのくらいの財産や借金があるかという「会社の財政状態」を示し、損益計算書はある期間においてその会社がどのくらい儲かったかという「会社の経営成績」を表します。「会計」とは、会社が活動した結果の財政状態や経営成績をありのままに投影する技術と言えます。財務諸表を作成する目的には、経営者に対して経営のかじ取りに必要な情報を提供すること(管理会計目的)と、企業を取り巻く利害関係者(株主、投資家、債権者、国家等)に対して企業に関する意思決定に必要な情報を提供すること(財務会計目的)があります。

3種類の勘定科目

 貸借対照表には、財政状態を表す「資産」「負債」「純資産」の3種類の勘定科目だけが、経営成績を表す損益計算書には「収益」「費用」の二種類の勘定科目だけが載っています。貸借対照表では、表の左側(全体に「資産」の勘定科目を並べます)の金額合計と右側(上部分に「負債」に関する勘定科目、下部分に「純資産」に関する勘定科目を並べます)の金額合計は必ず一致します。損益計算書の「収益」と「費用」の差額が「利益」となり、同時に「純資産」の一部になります。

 「資産」とは現在保有しているプラスの財産のことですが、「将来会社にお金の流入をもたらすもの」とも言え、将来お金に変身しないものは、会計的には資産として認められないことにもなります。資産の勘定科目は大きく「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3種類に分けられています。すぐにお金になる資産が「流動資産」で、お金になるまで長時間を要する資産が「固定資産」です。「繰延資産」は、将来お金の獲得に貢献するだろうという過去の支出金額のことです。

 「負債」は一言でいうと「資産」の反対でマイナスの財産であり、「将来会社からお金を流出させるもの」です。このうちすぐにお金が出て行く負債が「流動負債」、お金が出て行くまで長時間を要する負債を「固定負債」と言います。

 「純資産」は「資産マイナス負債」として表されますが、会社の所有者である株主に帰属するものと言えます。「純資産」には2つの性質があり、「株主が払い込んだお金」という性質と「会社が事業活動で増やしたお金のうち残っているもの」という性質です。前者が「資本金」、後者が「利益」のことです。「収益」と「費用」の差額である「利益」は「純資産」の勘定科目でもあるわけです。「負債」と「純資産」と「収益」はお金の調達源泉であり、「資産」と「費用」はお金の運用形態であると言えます。

費用収益対応の原則

 「会社の経営成績」を表す損益計算書は、一定の期間ごとに作成しますので、「収益」や「費用」の計上のタイミングが重要です。「収益」は、商品を引き渡して、かつ、現金かそれに見合う債権が発生したときに損益計算書に計上します(「実現主義」)。一方、「費用」は犠牲となりうる取引が発生したときに計上します。例えば、「収益」を獲得するための犠牲である広告宣伝をする場合、後日お金を支払うことになっていても、広告宣伝を行ったときに損益計算書に「費用」として計上されます(「発生主義」。犠牲として支出したお金のうち、当期の収益に貢献した分は「費用」になりますが、来期以降の収益に貢献する分は当期では「資産」となり、来期になって初めて「費用」として計上することになります。このように、「費用」を「発生主義」により把握し、対応する収益が計上される会計期間に計上することを「費用収益対応の原則」と言います。