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2007/03/15

 地球の温暖化等、環境問題は深刻だ。南太平洋の人口9万9千人の小国キリバスは、平均の海抜高度は2㍍で、最も高いところでも高度は5㍍しかない。温暖化で海面が上昇すると、国土の多くの部分が水没してしまう。日本も同じ島国であり、人ごとではない。

 経済発展を鈍化させてまで温暖化対策を取ることはしないとしていたアメリカのブッシュ大統領も、議会や一部の産業界の声に押されてか、10年間でガソリン消費を20%削減させる目標を打ち出した。

 地球温暖化の問題に限らず、環境が守られるかどうかは、一人一人が危機意識を持ち行動に移すかどうかにかかっている。

 世界の国々を歩き回って、環境問題に取り組む各国の状況を映像におさめ、日本で紹介している松本英揮さんは、車は使わない。富山市で夕方講演を聴いたが、翌日の講演会場の石川県へも自転車で行くという。特殊な折り畳み可能な愛用の自転車に乗ったり持ち歩いたりして、公共交通機関も利用して全国で活動しておられる。

 森の保全も重要だ。森は炭酸ガスを吸収し、有機物を作り、酸素を放出する。台風、地震、大火、津波などの災害を防ぎ、環境を保全してくれる。死んだ材料だけの技術革新と刹那的な経済の豊かさのみを追求している現状に危機感を抱く宮脇昭氏(横浜国立大学名誉教授)は、日本国内外の1500箇所で3000万本以上の幼木を植えてきた。生態学的に見て、その土地本来の植生をもとにした「本物の森」作りを目指して活動中だ(『いのちの森を生む』NHK出版、宮脇昭著)。

 環境問題について書いたり発言するには勇気がいる。「こうすれば地球環境を守れる」という主張をすることになる場合が多いが、「それならあなたは何かしているのか」と逆に問われることを想定するからである。

 「混ぜればゴミ、分ければ資源」だからとゴミの分別をするにも関心と労力が必要だし、ビニール袋の消費を減らすために個人用の買い物籠を持ち歩くことも、意識していないと忘れてしまう。

 まして、自動車をやめて自転車を使うことにしようと思えば、寒さや降雨対策、両手を自由にするためのリュックサックの準備、さらに時間に遅れないように早めに家を出たりしないといけないし、何よりも自分の体力を考えて綿密に移動計画を立てないといけない。犠牲が伴うのである。

 しかし、地球環境の現状は座視してはおれないところまで来ているようだ。私も自転車出勤日を作ることを検討しよう。富山県人は「先用後利」(先に用いてもらい後で利益を得る)という偉大な商売の理念を生み出したが、これからは「先犠後喜」(先に犠牲となって後で喜ぶ)という、地球と共生する生活理念を実践していく必要がありそうだ。

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