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2006/04/15

 構造改革特区は地域限定で、特定の法令の効力を失効させる仕組みです。教育、農業、福祉の分野等で新しい試みがなされています。

 特区は、2002年12月の「構造改革特別区域法」の公布により誕生した制度で、05年7月時点で全国に548件あります。制度の活用法は市場化テストと似ていて、
①規制改革・民間開放集中受付月間で、新たに作って欲しい構造改革特区を、民間側と地方自治体が共同して提案、申請
②国が認可し、運営開始
というのが基本的な流れです。

教育分野

 学校教育法では、大学や小中高校、幼稚園、盲聾養護学校などは、学校法人、国、自治体の三者しか設置できませんが、構造改革特区では、この規制を緩和して、学校法人よりも設置手続が容易で資金集めにも有利な株式会社による学校経営に道を開きました。

 例えば、岡山県御津町では2003年8月、「御津町教育特区」が国により認可され、御津町では株式会社が私立中学校を設置し、学習指導要領など教育課程基準によらない独自のカリキュラムで学校を運営しています。

 2004年には、株式会社による大学が二校開校しました。他大学の聴講生を集めて「単位の切り売り」のような戦略を描いたり、会社員が専任教員となって週に数回授業をするなど、既存の大学では考えられなかった取り組みに、破綻すればともに責任を負うことになる自治体は敏感になっています。

 公立学校でも特区制度が活用されています。東京都品川区では今年度から区立の全小中学校で小中一貫教育が始まりました。義務教育九年間のカリキュラムを「四・三・二」の三期間に分け、生徒が授業に溶け込みやすくするのが狙いのようです。小中一貫校として開校した同区内の学園の開校式で、文科相も「小中連携を先駆ける大きな役割がある」などと挨拶しました。

農業や福祉等の分野

 政府が特区制度を導入した2003年4月、農水省は、株式会社による農業経営には「利益が上がらなければ経営から撤退し農地の荒廃を招く」と同制度に否定的でしたが、成功例の増加に伴い「全国的にも株式会社の参入が期待できる」と方向転換しました。飲食チェーンのワタミは、特区制度を利用して自前の有機野菜栽培に乗り出しています。

 特別養護老人ホームの経営にも、民間企業が乗り出しています。岩手町一戸町の「公設民営小規模多機能福祉特区」は、2003年11月に認可された全国初のケースです。

 特区制度を活用すれば、特区の地域内に限り個別法が定める壁を取り払い、民間企業が官限定市場に参入することが可能になりますが、これまで認可された特区の多くは、民間開放というよりも、規制の存在自体に疑問を投げかけてその撤廃を狙っているように思えます。

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