そういう場では様々なカウンセリング理論が用いられています。
カウンセリングは通常、精神的な問題を抱えている健常者(クライアント)に対して、カウンセラーが治療する者という立場で関わりを持つことで、クライアントの内面変化による行動の変容を実現しようとしています。
カウンセリングの根底には、人間関係を良くするという狙いがあります。
百年の歴史を有する素晴らしい理論体系もあります。
これを市場(人の生活の集合体)に広めない手はない、という考えのもとに出てきたのがコーチングです。
ですから、コーチングでは特定分野におけるパフォーマンスの向上を期待している人(目的意識のはっきりしている人)に対して、コーチが目標達成のための手ほどきをし、クライアントの外面変化によるパフォーマンスの向上を実現しようとします。
フロイトとユング
「精神分析」は19世紀末にフロイトによって始まりました。
現在、原型としての普及は低いのですが、諸理論に与えた影響は絶大です。
ヒステリーの患者の治療を通じてフロイトは、その症状は無意識や抑圧に起因するものであり、それを想起し克服すること(無意識の意識化)が大切だと説きました。
フロイトに傾倒し、その後離れていったスイスの心理学者ユングは、無意識にはフロイトが主張するような個人的無意識もあるが、個人の経験を超越した「普遍的(集合的)無意識」もあるとして、それは超克すべきものではなく、個人の生活に生かしていくものであると捉えました。
ロジャーズの来談者中心療法
日本のカウンセリング界に大きな影響を与えた一人であるロジャーズは次のように考えます。
人間は成長、健康、適応に向かう衝動を持っているが、現実の経験と「自己概念(自分が自分をどう思っているか)」とが不一致な状態にあるのが来談者(クライアント)の状況である。
主観的な世界を尊重し、クライアントを無条件で受容するとともに、共感的に理解することで、クライアントは頑なな自己概念を見直し、経験を受け入れられるようになるとします。
ロジャーズは、カウンセラーとクライアントに上下の関係はなく、お互いが本音で語り合う体験が人を癒していくのだと言います。
ロジャーズ理論は、心理療法を科学として体系化し、カウンセラーのパーソナリティが治療条件であるとするなどの功績が認められる一方、カウンセラーが受け身的でよいと言う誤解や、考えることは罪悪であるといった誤解を受けやすいという問題点も指摘されています。
Posted by oota at 11:08:00. Filed under: カウンセリングとコーチング
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