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2013/10/15

在留資格制度

 一般の日本人にとって、日本国内で生活することは当たり前のことですが、外国人にとってはそうではありません。何らかの理由が必要であり、その理由を形にした在留資格を持っていないと不法滞在者となり、刑事罰が適用されかねません。27種類の在留資格がありますが、同時に持つことができるのは一つの在留資格だけです(一在留一在留資格の原則)。また、在留資格には必ず在留期間(最短15日、最長5年)がついています。

在留資格の種類

 在留資格は大雑把に言うと、活動内容に応じて与えられるものと、身分や地位に応じて与えられるものに大別されます。

 前者では、経理、金融、会計等や通訳、翻訳、海外取引業務、商品開発等の専門能力を必要とする文科系の活動に対する「人文知識・国際業務」、情報工学の技術・知識や精密機械器具や土木・建設機械等の設計・開発等の技術系の専門職に対する「技術」、外国料理の調理、宝石・貴金属・毛皮の加工、動物の調教、スポーツの指導、ワインの鑑定等の熟練した技能を要する業務に対する「技能」、外資系企業の経営者・管理者の活動に対する「投資・経営」、日本の事業所の業務に従事し技能・技術・知識を習得する活動に対する「技能実習」、日本の大学や高等学校等において教育を受ける活動に対する「留学」、一定の在留資格を持って日本に滞在する外国人の扶養家族を受け入れるための「家族滞在」が代表的です。

 後者では、日本人の配偶者、日本人の特別養子又は日本人の子として出生した者に対する「日本人の配偶者等」、在留活動、在留期間のいずれも制限されることのない「永住者」、永住者や特別永住者の配偶者又は永住者や特別永住者の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留する者に対する「永住者の配偶者等」、特別な理由を考慮して居住を認めるのが相当である外国人に対する「定住者」、在留資格決定の判断基準となる活動として類型化されていない活動をする外国人に対する「特定活動」が代表的です。

 これら中長期の在留資格の他に90日以内の短期間日本に滞在して観光、親族訪問、短期商用を行う者にたいして「短期滞在」があります。

裁量性が大きい行政行為

 外国人は、このような在留資格に関する手続を安易に考えがちです。例えば、日本人と結婚した外国人は、戸籍謄本や結婚証明書を提出して日本人の配偶者であることを証明しさえすれば、許可をもらえると考えがちです。しかし、現実はそうではありません。入国管理局という役所は、偽装結婚ではないかという視点で見ますので、所得課税証明書や確定申告書の控えの写し等で扶養能力を証明するだけではなく、どのように出会いどのような交流をして結婚の意思を決めたのかということを、スナップ写真、メールや手紙のやり取りの記録をもとに詳細に説明をしなければなりません。交流期間が短いときは、より詳細な説明が必要です。

 入管の判断は、裁量性の大きい判断です。入管の審査官は、自分の心証で有罪か無罪かを決める裁判官さながら、許可か不許可を決めているように感じることもあります。

 日本は今後、多文化共生の道を模索していかなければ国際社会の中で名誉ある地位を得ることは難しくなるでしょう。反面、不良外国人によって日本の国土や社会が荒らされてしまうことになっては元も子もあり于ません。外国人をどのように受け入れ、どのように共に生活していくのかをよく考えなければなりませんが、在留資格制度はその重要な根幹をなす制度です。次号からその詳細を見ていきます。

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