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2012/08/15

 韓国の李明博大統領が8月14日、「(天皇陛下が)訪韓したいならば独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ねて謝罪すればいい」と発言したことが、日本国内で大きく取り上げられている。識者は、一二月の韓国大統領選を視野に入れた人気取りのための発言と分析しながらも、国際儀礼に反するとの意見が多い。玄葉外相も、外交ルートで抗議し毅然と対応すると述べている。

 「1回目の罪はそれを犯した者のもの、2回目はそれを許した者のもの」のことわざを持ち出すまでもなく、毅然と対処すべきことに異論はない。ただ、国家的自尊心のみで突っ走ってしまうと、取り返しのつかないことにもなりかねない。

 まず慎重さが必要だ。今回の李明博大統領の発言は当初「(天皇陛下が)韓国を訪問したがっている」と報道されたが、それは取材した記者の間違いであり、同大統領は「(天皇陛下が)韓国を訪問したいならば」と発言したというのが本当のようだ。訂正までいくらかの時間が経っており、その間に日本国内で誤解に基づいた反論が形成されたことは否めない。

 このような難しい外交交渉は、少し突き放した俯瞰する観点から見た方が、冷静に対処でき共存共栄に資すると思う。

 アメリカのロナルド・レーガン第40代大統領の最大の功績は、当時のソ連との冷戦に終止符を打ったことである。氏は、専門家が書いたスピーチを自らやさしい言葉に書き直し、民衆を飽きさせないジョークやエピソードを盛り込んで話したと言う。次のジョークは、旧ソ連のゴルバチョフ大統領に紹介したら本人も笑っていたという。
「アメリカ人とロシア人が議論をしていたところ、アメリカ人がこういった。『アメリカでは大統領の机を叩いて“大統領、あなたの政治のやり方が気に入らない!”と言うことができるんだ』。するとロシア人が『私にだって同じことができる』と言う。アメリカ人が『できるって?本当に?』。ロシア人『もちろんだよ。私にだってゴルバチョフの机を叩いて“レーガン大統領の政治のやり方が気に入らない!”と言うことができるさ』」(大島希巳江著『日本の笑いと世界のユーモア』世界思想社)

 アメリカの民主主義を強調した後にこのジョークを述べたらしいが、主張したいことを、人間として共通に持つ笑いという感情に訴え利用したもので、レーガン元大統領の偉大さを物語っている。

 私は、相互主義の観点も重要と思う。韓国人が共通して尊敬する人物の代表は、李氏朝鮮の第四代国王の世宗大王だ。ハングルの制定を行ったことで知られ、歴代君主中、最も優れた君主と言われている。

 李明博大統領に、「私は世宗大王を尊敬しています。韓国の方がとても尊敬していることも良く知っています。それで、世宗大王に謝罪を求めることなどできません。その代わりハングルを一生懸命に勉強しています」と言ってみてはどうだろうか。

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