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2012/04/15

株式会社の機関

 会社は法人ですから、自ら意思を持って行為をすることはできません。そこで、一定の自然人または会議体のする意思決定や一定の自然人のする行為を会社の意思や行為とすることが必要になります。このような自然人または会議体を会社の「機関」と呼びます。

 会社法は、機関設計について、規模の大小と公開性の有無を基準として考えています。規模の大きい「大会社」とは、資本金5億円以上または負債の総額が200億円以上の株式会社をいいます(貸借対照表上の数字で決めます)。「公開会社」というと通常は上場会社等を言うことが多いのですが、会社法では、定款に株式譲渡制限の定めがある株式会社であるかどうかを基準としています。すべての種類の株式について譲渡制限がある株式会社以外の株式会社を公開会社としています。よって、すべての種類の株式について譲渡制限がない会社はもちろん、一部の種類の株式についてだけ譲渡制限がある会社も公開会社となります。小規模な同族会社等は、会社にとって好ましからざる株主となる可能性のある部外者の株主を嫌いますが、会社の定款に株式の譲渡制限の旨を記載すれば、会社にとって好ましくない株主を排除することができます。わが国の株式会社のほとんどは株式の譲渡制限の規定を設けた会社です。

株式会社の機関設計

 会社法が定める株式会社の機関設計は、非常に多様化しました。まず、どのような機関があるか見て行きます。
①取締役…会社の経営者です。会社に利益をもたらすことが使命ですが、損害を与えることもありうるという意味で潜在的な悪者となりえます。
②取締役会…取締役全員により構成された合議体のこと。取締役会設置会社は、取締役会において代表取締役を選定しなければなりません。それ以外の取締役には代表権はありません。
③監査役…取締役の職務の執行を監査します。会計監査の権限だけでなく職務執行の当不当についても監査権限があります。
④監査役会…三人以上の監査役から構成される取締役会の監督機関と言えます。
⑤会計参与…取締役と共同して、計算書類等を作成します。取締役、監査役と同様、会社役員です。
⑥会計監査人…会計参与を会計のプロとすれば、会計監査人はプロ中のプロで、その資格は公認会計士(監査法人)に限られます。大企業が採用する監査機関です。
⑦三委員会…従来の日本型経営ではなくアメリカ型の組織形態です。三委員会とは、指名委員会、報酬委員会、監査委員会です。取締役会の持つ業務監督機能を強化し、監督と執行の分離が徹底され、業務執行は取締役ではなく執行役という別の役員を選任して担当させます。大規模な会社を念頭に設計されました。

 そして、機関設計に関する基本的なルールは次のとおりです。このルールに基づいて機関設計をしていくと、39種類の類型の会社ができます。
①すべての株式会社は株主総会と取締役が必要
②公開会社は取締役会が必要
③取締役会を置いた場合は、監査役(監査役会を含む)または三委員会と執行役のいずれかが必要
④取締役会を置かない場合は、監査役会や三委員会・執行役を置くことはできない
⑤大会社では会計監査人が必要
⑥会計監査人を置くためには、監査役(監査役会を含む)または三委員会と執行役のいずれかが必要
(岩波新書、神田秀樹著『会社法入門』を参照しました)

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