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2011/12/15

税効果会計(会社の実態を反映するしくみ)

 税効果会計とは、「税務上の法人税等(法人税と住民税と事業税のこと)」を「会計上、計上すべき法人税等」に調整するための会計手法です。

 「税務上の法人税等」である納税予定額は、「益金」と「損金」の差額である「課税所得」に税率を掛けて計算されます。それに対して、「会計上、計上すべき法人税等」である税金費用は、会社の実態を表した「収益」と「費用」の差額である「利益」に税率を掛けて計算されます。「益金・損金」と「収益・費用」は、計上される範囲とタイミングが異なっています。例えば、会計上、問題がある売掛金に対して貸倒引当金を費用として計上することがあります。会社の実態を正しく表すためです。しかし、税金計算上は、貸倒引当金繰入額を、会計上の費用と同じタイミングで計上できないことがあります。税務上は、会社の実態ということとは全く関係なく税法とか国の政策的なことで計上のタイミングが決定されるからです。

 例えば、法人税等の税率を40%と仮定して、会計上は「収益500」と「貸倒引当金繰入額100」を費用として計上したものの、税務上は「貸倒引当金繰入額100」は今期はまだ「損金」として認められずに、「益金500」「損金0」とします。すると会計上は「収益500ー費用100」で「利益400」となるので、財務諸表に計上すべき税金費用は「利益400×税率40%」で「税金費用160」となります。それに対して税務上は、「益金500ー損金0」で「課税所得500」となるので、納税すべき法人税等は「課税所得500×税率40%」で「納税予定額200」となります。このように、「益金・損金」と「収益・費用」とに差異があると、「税務上の法人税等」と「会計上、計上すべき法人税等」とにかい離が生じます。

 税効果会計が導入される前は、「税引前当期純利益400」から、納税予定額である「法人税等160」を差し引いて「当期純利益240」というように表示されていましたが、税効果会計が導入されてからは、「税引前当期純利益400」から「法人税等160」を差し引き、「法人税等のマイナス40」を計上して「当期純利益280」と表示するようになりました。この「法人税等のマイナス」は、損益計算上は「法人税等調整額」という「費用」の科目で表すことになります。

 税効果会計制度導入前は「損金」にならない「費用」は、費用計上しなくても納める法人税等は変わらないうえ、計上しない方が最終的な利益は多くなるので、計上したがらない会社経営者がいましたが、「税務」と「会計」をきちんと線引きするこのような「税効果会計」を導入することで、会計が会社の実態を表しやすくなりました。

国際会計基準(IFRS)

 会計の世界では、会計のルールを世界共通のものに変えるという流れがあります。会計基準をめぐり、アメリカとEUとの間で覇権争いがありましたが、両者が接近し、EUが打ち出したIFRSを日本も結果的には全面適用する方向に舵を切りました。会計ルールを国際共通のものとすることで、企業の財務戦略も国際化され、日本経済にも大きな影響を与える可能性があります。投資家も各国の会社の成績を比較検討し、安心して投資できるようになります。

 このIFRSで財務諸表が変わります。貸借対照表は「財務状態計算書」と、損益計算書は「包括利益計算書」と呼ばれることになります。「財務状態計算書」はさほどではありませんが、「包括利益計算書」は従前の損益計算書と比べ、大きな相違があります。最終的な利益の概念が従来の「純利益」から「包括利益」に変わりました。「包括利益」とは「資産・負債を時価評価した差額(の増減)」を、「純利益」に加えたものです。「時価評価」という概念を強く入れることで、より将来の情報を表すものにしました。

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