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2011/11/15

 DCF法(Discount Cash Flow Method)は、将来の異なる時点のキャッシュフローの金額を、現在という単一時点での価値(現在価値)へ割り引くことによって、投資機会(設備投資)を評価する方法です。つまり、投資物件の生み出すキャッシュフローの期待値を必要収益率である資本コストで割り引いた現在価値がその投資物件の価値である、という考え方であり、この考え方を応用して、企業を評価するための企業価値を求めることもできます。いずれも、「フリーキャッシュフロー(FCF)」という概念を用います。

「フリーキャッシュフロー」とは

 キャッシュフローのフリーは自由に使えるという意味です。企業の設備投資は本来、営業活動によるキャッシュフローの範囲内におさめるべきであるところから、フリーキャッシュフローは資本投資家に対して分配可能な(自由に使える)キャッシュフローと言い換えることもできます。

 このフリーキャッシュフローには二つの定義があります。
A…「営業キャッシュフロー」ー「投資キャッシュフロー」
B…「営業キャッシュフロー」ー「現事業維持のために必要なキャッシュフロー」

 「投資キャッシュフロー」には、①現事業維持のために必要なキャッシュフロー②未来投資③三か月を超える財務的な投資(定期預金や社債、長期での株式購入など)の三種類が含まれます。

 未来投資や財務的投資は自由に使えるお金、つまりフリーキャッシュフローから行われるべきものであり、それらをも差し引いた残りがフリーキャッシュフローだとみなすAの考え方だと、フリーキャッシュフローは企業の稼ぐ力を表す真の企業の実力値であるにもかかわらず、それを過小評価していることにもなりかねません。しかし、企業外部の人からは「現事業維持のために必要なキャッシュフロー」の額が分かりにくいことと、大多数の企業は未来投資額や三カ月を超える財務的投資の額がそれほど大きくないため、フリキャッシュフローとしてはAが一般的に用いられます。専門家はBを用いることが多いようです。

投資機会の評価法

 DCF法の考え方を用いて、投資機会を評価する具体的な計算方法に正味現在価値法(NPV法))があります。これは、設備投資によって①将来得られるキャッシュフローをすべて現在価値に割り引き②その現在価値を合計し③その合計額から初期投資額を差し引いた値(正味現在価値)がプラスであるとき、その投資代替案を採用するという投資評価基準です。複数の投資代替案があるときは、値がプラスで最も大きな正味現在価値の投資案が採択されます。正味現在価値法は、キャッシュフローの現在価値を考慮している点で優れており、現時点では最も利用価値の高い投資評価基準のひとつと言えます。

企業価値の算定

 DCF法による企業価値の算定には、
A…企業価値を(株式価値+負債価値)として求める方法
B…企業価値を直接求める方法
の二つの方法があります。

 Aの株式価値は、配当金を株主資本の資本コストで除したものとして求めることができ、負債価値は負債利子額を負債利子率で除したものとして求めることができます。

 企業価値を直接求める方法は、企業がその事業から生み出すキャッシュフローの期待値(フリーキャッシュフロー)を事業の必要収益率で割り引くことで企業価値を求めるものです。

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