コミュニケーションを研究する会合などでは、「ふりかえり」をとても大切にする。話し合いの最後に、メンバーが話し合いに参加していて気づいたことを順番に述べて行くのである。「こんな考えに出会って驚きました」「Aさんの発言はこんな局面に活かせると思いました」「前に学んだ考えとの共通性に気づきました」など、フランクに気づいたことを述べる。新たな気づきが生まれることが多く、楽しい時間である。
ファシリテーターの養成を目的とする会合では、その場のファシリテーターを選んで会を進める。話し合いが終わると、ファシリテーターが効果的なファシリテーションを行っていたかを皆で検証し合う「ふりかえり」を行う。「参加者が楽しく自由な気持ちで参加するとともに、お互いに高め合うような意見交換が行われる場としていたか」という観点から、「良かった点」「問題と思われる点」「新たに挑戦したら良い点」ごとに、メンバーが率直に(人格否定はしない)意見を出し合う。とても貴重な成長の場であり、前段の話し合いの時間よりも、このふりかえりの時間の方が長くなることもしばしばである。
このような「ふりかえり」の中で、認識の違いが浮き彫りになったり、活動の意義を再認識することにもなり、活動の継続にとって大きな役割を果たす。
活動を継続させるということでは、似たテーマに関心を持つ人が集まれるようにすることも効果的だ。メインテーマのもと、より具体化したテーマごとにグループを作るために、参加者全員が自分が関心のあるテーマを用紙に書いて、それを見えるように持ちながら、部屋の中を歩き回ったことがある。似た関心事を持つ人たちがおのずと集まるようになる。
同じ関心事を持つ人が集まるようにしてさらに議論を深めるということでは、OST(オープンスペーステクノロジー)という手法も、とても自由な雰囲気で刺激的だ。先着数名にテーマ出しをする権利を与え、準備された用紙にその場で議論したいテーマを書き込んで、参加者全員に見せる。テーマ出しが終わると、会場に設定された討論場所に各テーマが割り振られ、参加者は話し合いたいテーマの場所に移動して話し合う。
「グループの中で貢献できていなかったり学習できていないなら、自分が学んだり貢献できるところに移動すべきである」という考えで運営されるので、討論メンバーの出入りが結構ある。自然界でハチが花から花へ移動して交配を手助けしているように、グループ間を移動する人は他のグループでの議論を紹介し、「ミーティングの交配」をすることが期待されるところがダイナミックだ。このような、参加者の自主的な参加による話し合いのやり方も「ふりかえり」と同様に、次につながりやすいコミュニケーションの方法だと思う。
Posted by oota at 11:15:00. Filed under: 随想・評論(平成23年)
Comments
Add Comment