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2004/01/15


必死に仕事に打ち込んできた人が、定年退職を迎えて何をしたらよいか分からず、途方に暮れしまうことがあると聞く。しかし、若い時に自分の価値観が明確で、一度きりの人生の有限な時間をどう使うかがはっきりしていれば、仕事も人生の一部として位置づけができて、退職後も充実した日々を送れると思う。そこで、参考になる整理術を紹介したい。

 自分がすること、読む本、会う人等何でも良いが、図のような3×3のマス目の中に入れ込んでいくのである。九つのマスは右にいくほど重要度が大きく、上にいくほど緊急度が大きい。重要度も緊急度も大きい「A」に書き込んだことが最優先で選択されることとなり、重要度も緊急度も小さい「I」に書き込んだことが、最も後回しにすれば良いことになる。

 緊急度は、人との約束、所属する組織からの要請など、期限の決められたものが大きくなりやすいのに対して、重要度は資格を取るとか、好きなことに没頭する等、人生の自己実現により貢献するものが大きくなりやすい。図で言えば、「D」には雑用が入りやすく、「F」には自己に投資するものが入りやすいことになる。

 退職して途方に暮れるというのは、緊急度の大きいこと(A,B,D)に反応して行動する対応型人生であった可能性が高い。世の中にはそれと反対に人の目や世間体を気にせず(人の迷惑も顧みないこともあるが)、自分が重要と思うこと(A,C,F)をやり続けるマイウェイ型人生を営んでいる人もいる。

 私の尊敬する同僚のK先輩は極めて優秀な人なのに、同じ寮に住んでいた後輩から頼まれる雑用を優先してやってあげて、それを済ませてから自分の論文発表の準備に取りかかっていた。一見、「B」や「D」に入ると思われる事を優先していた。その頃は、それが不思議だったが、後日、K先輩にとっては後輩の世話をする事の方が、自分の論文発表より重要な事なのだと分かった。
K先輩にとっては、他人が「D」に入ると思うことでも、「A」に入ることだったのだ。緊急度は客観的に決まることが多いのに対して、重要度は内発的で主観的に決められるものなのである。

 3×3の図表は、適宜更新していけば仕事や家事で抜けてしまう事を予防できるし、優先順位が明確になるので行動計画が立てやすくなる。長年続けて書いて保存しておけば、自分が何を重要と考えてきたかという、自分の価値観の変遷を知る事もできる。

 是非、お試し下さい

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