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2010/12/15

 戦前は家父長制のもとで親族が共に住む大家族が普通だったようだが、最近は、夫婦と子の世帯が減少して単身世帯が増加している。世帯人員数の平均も3人を切るようになった。家族の形も様変わりしてしまった。

 かつて、家庭科の教科書に、家族の形として、1組の夫婦と未婚の子が住む核家族だけでなく、事実婚、同性婚、結婚を選ばなかった女性と子からなる母子家庭など多様な形態を示すものがあらわれ、物議をかもした。また、社会を家族単位ではなく個人単位で考えることを唱える学者も現れた。

 しかし、私は、家族の形は、血のつながりを大切にしたものが基本形であるとして教えるのが良いと思う。さまざまな事情から、これと異なる家族の形を取っている人々の選択を否定するものではないが、血のつながりが持つ力を考えるとそのように思う。

 人は愛により生命を得て、その愛と生命が続いて血統となる。母親が我が身を省みず犠牲的に子どもを守るなど、血のつながりが持つ力は強烈だ。ユダヤ民族が国を失い2000年近くたってからイスラエルを建国することができたのも、韓民族が一族の系図である族譜を何よりも大切にするのも、家族という血縁共同体の持つ力が根本にあるからだと思う。

 その中でも、父母や祖父母、曾祖父母と共に生活する3世代同居、4世代同居の家族の中で育てられる子どもは幸福だ。人は人との相互作用の中で成長する。夫婦に第1子が生まれたとき、父母と子の3名からなる家族の間でなされる相互作用の回路の種類は4通り(3C2+3C3)であるのに対して、祖父母、父母、子の3世代5名からなる家族の間でなされる相互作用の回路の種類は26通り(5C2+5C3+5C4+5C5)、さらに4世代7名からなる家族の場合は120通り(7C2+7C3+7C4+7C5+7C6+7C7)となる。3世代、4世代同居の家族の間における人間の相互作用は、学校における校長先生、担任教師、生徒という社会や、会社における社長、部長、課長、一般社員という社会における相互作用の縮図のようなもので、家庭に居ながらにして子どもは社会を体験し生きていく知恵を身につけることができる。

 さらに、祖父母、父母、子という縦の関係と、兄弟姉妹という横の関係が共に存在する家庭は、太陽、地球、月という縦の関係と、水星や金星等の惑星と地球が持つ横の関係を同時に現わしており、家庭に居ながらにして太陽系や宇宙の存在様相まで体験できる。しかも、血のつながりによる愛の関係で結ばれた人たちと共にいるので、子どもは変幻自在に展開する愛の思いに触れながら生活できるという最良の環境だ。家族のあり方を考える際には、未来を作る子どもたちにとって最良のものを与える視点が最も重要であるという立場に立てば、血縁に基づく家族の力はどんなに評価しても、し過ぎることはない。

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