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2004/09/15

知的財産権について

「知的財産権」とは、知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して「他人に無断で利用されない」といった権利を付与する制度です(「知的所有権」とも言います)。

それにはおおまかに言って、「著作権」と「産業財産権」(「工業所有権」とも言います)とがあります。

「著作権」は、思想や感情の創作の表現を守るもので、文芸、学術、美術、音楽など広範囲に及びます。

一方「産業財産権」とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権など、産業的分野において技術的創作の内容を守るものです。

「産業財産権」は権利を取得するために「申請」「登録」などの手続きが必要ですが、著作権はこうした手続きを一切必要とせず、著作物が創られた時点で「自動的」に付与されます。

(著作権にも登録制度はありますが、それは権利取得のためのものではなく、著作物に関する一定の事実を公示したい場合、著作物の保護期間を延長させたい場合や著作権に関する取引の安全を確保する必要のためのものです。)
著作者の権利

「著作権」は国際的なルール(条約)に従い構成されています。

「著作権」は「著作者の権利」と「著作隣接権」とで構成され、「著作者の権利」は「著作者人格権」と「著作権(財産権)」とで構成されます。

「著作者の権利」のことを「著作権」と呼ぶこともあり、広狭三通りの使い方がされていますので注意を要します。
 
「著作者の権利」はいわば著作者の「心」を守る「著作者人格権」と、著作者の「財布」を守る「著作権(財産権)」とで構成されます。

「心」を守る「著作者人格権」には「公表権(無断で公表されない権利)」、「氏名表示権(名前の表示を求める権利)」、「同一性保持権(無断で改変されない権利)」の三つがあります。

一方「財布」を守る「著作権(財産権)」には、コピーを作ることに関する「複製権」、コピーを使わずに公衆に伝えること(提示)に関する「上演権・演奏権」「上映権」「展示権」など、コピーを使って公衆に伝えること(提供)に関する「譲渡権」「貸与権」「頒布権」、二次的著作物(原作を翻訳、編曲、映画化などにより創作物に加工した著作物)の創作・利用に関する「二次的著作物の創作権」「二次的著作物の利用権」があります。

(財産権における「○○権」とは、他人が「無断で○○すること」を止めることができる権利、又は、使用料などの条件を付けて他人が○○することを認める権利のことです)

「著作権(財産権)」の保護期間は、原則として創作の時から著作者の死後50年後までですが、他の知的財産権(特許権が出願から20年、実用新案権は出願から6年)に比べて長いと言えるでしょう。


 著作隣接権

 広義の「著作権」には、「著作者の権利」の他に「著作隣接権」があります。

「著作隣接権」とは、著作物等を「伝達する者」に付与される権利のことであり、「心」を守る「実演家人格権」と「財布」を守る「著作隣接権(財産権)」とで構成されています。

次号では、著作権の登録制度を見ていきます。

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