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2004/05/15

民法は、生活上の世話や財産の管理等について保護を必要とする方に対して配慮する制度として、成年後見制度を定めています。

保護を必要とする方とは、親がいない未成年の子、知的・精神的能力が十分ではない成年者、高齢により判断が低下した方々です。

親がいない未成年の子に対して民法では、未成年後見という制度によって保護者の選出の仕方を定めています。

保護を要するのが未成年ではなく、成年である場合の保護の仕方を定めたものが、成年後見制度です。 三つの基本的な考え方

高齢化社会を迎えて、成年後見制度の必要性に対する認識が持たれるようになってきましたが、これまで同じような趣旨の制度がなかったかというと、そうではありません。

禁治産・準禁治産制度がそれです。

しかし、この制度は本人保護の名の下に、特定の人々に「無能力者」のレッテルを貼って、社会への参加を制限することに重点を置いてきました。

このような考え方が見直されて、平成11年に成年後見制度が導入され、禁治産・準禁治産制度が廃止されました。

成年後見制度成立の基本的考え方は、次の3つであると言われています。交通事故にあった時は、次の4なりません。

①高齢者を含めた判断能力の十分でない人々の自己決定を尊重する。

②残存能力を活用する。

③障害のある人も家庭や地域で、通常の生活をすることができるような社会を作る。(「ノーマライゼーション」という)  
  
また、従来禁治産の宣告を受けた人は、そのことが戸籍に表記されていました。

このことが、この制度があまり利用されなかった理由の一つであると思います。

成年後見制度では、戸籍に表記することを取りやめて、法定後見や任意後見契約の内容が東京法務局に登記されるということになりました。

現在、戸籍に「禁治産」「準禁治産」などの記載がある方は、東京法務局に登記すれば、それらの記載のない新しい戸籍を作ってもらえます。

さらに、判断能力の不十分な方々に対する「無能力者」という呼び方も「制限能力者」に変更しました。


改正の二つの柱

平成11年の改正法には二つの柱があります。第一は、禁治産・準禁治産制度を新たな三類型の成年後見制度に置き換えたことです。

つまり、従来の禁治産に代えて「後見」を、準禁治産に代えて「保佐」を導入すると共に、新たに「補助」という類型を新設しました。

今日の日本は「オレオレ詐欺」等の詐欺や悪徳商法によって、高齢者等判断能力の不十分な方が金銭の被害に遭っています。

残存能力の程度に応じて「後見人」「保佐人」「補助人」を付して、その方々に既に結ばれた契約などの取り消し権や代理権を与えることによって、制限能力者を保護するのです。

第二の柱は、公的機関の監督を伴う任意代理制度(任意後見契約制度)を新設したことです。

任意後見契約とは、本人が判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、自分の生活・療養看護・財産の管理に関する事務を他人に委託し、委託した事務について任意代理権を付与する委任契約のことです。 

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