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2008/04/15

カズム理論の応用

 創業間もない企業が新しい商品やサービスを販売したときに、多かれ少なかれ共通して見られる現象があります。それは、「少しは売れるけれど沢山は売れない」ということです。

 このような現象を説明する理論のひとつに「カズム(断層)理論」があります。これは、新商品や新サービスを受け入れる市場は一様ではなく、いくつかの異なったグループによって構成され、少しだけ売れる市場とたくさん売れる市場の質的な違いに着目したものです。

 第1グループは、何か新しい商品やサービスが発表された時、とにかく試してみようという人たちです。第2グループは目利きができる人たちです。本当に値打ちのあるものを手ごろな価格で販売していれば、自分自身の判断で買います。新商品や新サービスを市場に出すと、第1グループと第2グループまでは比較的順調に売れます。ここで投資金額が回収できれば問題ないのですが、一般にはこの程度の販売量では投資を回収するところには至りません。問題は第3グループ以降です。

 第3グループは、世の中の新しい動きに敏感ではありますが、必ずしも自分自身で目利きはできません。しかしながら、彼らは自分たちと同じような集団に影響されながら、流行を創造し、市場の流れを決定づけます。例えば新しい金融サービスについて、外資系銀行の動きには影響されないものの、邦銀の動きには素早く反応したりする日本の銀行です。第4グループは流行を後追いし、最後のグループは新しいものがどうしても嫌いだという人たちです。

 カズム理論によると、いかに第3グループを動かすかがポイントになります。「目利きができる人だけに買ってもらえればよい」というのもひとつの戦略ですが、そのような方法で行き詰まっている場合はカズム理論の応用によって戦略を再構築することも必要でしょう。

市場の即応性

 創業間もない企業の財・サービスが売れない理由をもうひとつ別の角度から見てみましょう。カズム理論ではマーケットの異質性に着目してこの現象を解説しましたが、ここでは市場の即応性という概念を使って考えます。

 例えば「24時間保育サービス」という事業があります。休日や祭日、又は夜遅くまで働く女性にとっては、平日の午前8時から午後8時くらいまでが営業時間である自治体に認可された保育園は使い勝手が悪い。そのような状況の下で、「24時間保育サービス」を始めた場合、そのサービスに興味を持たせたり、欲求を喚起させたりする必要はほとんどありません。単に知ってもらうだけで、潜在顧客はすぐに購買行動を起こしてくれるでしょう。このような場合、市場の即応性が良いと言えます。

 市場即応性の良い財・サービスは、ひと言で言えばAIDA(アイダ)論において、最初のA(Attention:注意を促すこと)をクリアーできれば、I(Interest:関心を持たせること)、D(Desire:欲求を喚起すること)のプロセスを経ることなく、一気に最後のA(Action:行動を起こさせること)にジャンプできるようなものです。

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