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2008/02/15

ビジネスモデルと競争優位

 ビジネスモデルとは事業機会を実現するための仕組みであり、事業機会、供給システム、そして経営資源の有効な組み合わせです。どのような事業機会を狙うのか、いかなる供給システムを構築するのか、どのような経営資源をどのように調達するかは、起業家の置かれた初期条件、歴史的経緯、そして起業家自身の考え方によって決定されます。いくつもの要素が組み合わさってできるビジネスモデルはユニークであるのが当然であり、「かたち」が分かれば真似ができるというものではありません。

 しかし、ある市場における優位性を決定する要因は多種多様であり、必ずしも最初に市場を開拓した企業が新市場の恩恵を享受できるわけではありません。

 問題は、経営戦略の模倣をいかに困難にすることができるかということです。その際、VRIO(ブリオ)分析と呼ばれるフレームワークがよく使われます。VRIO分析とは、Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣性)、Organization(組織)の頭文字をとったものです。経営戦略のベースとなる経営資源等を、そもそも価値を持っているのか、同業他社が保有していないという希少性があるのか、模倣が困難であるか、ユニークな経営資源を生かす組織が構築されているのかという四つの視点から見ることによって、戦略の有効性を判断するものです。当然、四つの要因とも「NO」であれば競争優位性は劣位であり、四つの要因とも「YES」であれば持続的優位を保つことができます。

新規性の連鎖

 起業家が発見した新しい事業機会は「新しい」ということだけでその後の事業展開の有効な武器になるものの、「新しい」がゆえに事業機会を実現する方法も確立されていないことが多くあります。起業家は新しい事業機会を認識した後は、それを実現するための方法も自ら考え、構築しなければなりません。

 高級家具に特化し、堅実な実績を残している企業に大塚家具(東京都江東区)があります。同社が家具業界で注目を集めるのは、単に業績の好調さだけでなく、ビジネスモデルに特徴があるからです。多店舗化や利便性重視の立地戦略をとる同業者が多い中で、大塚家具は店舗数の絞り込み、店舗の大型化、そして便利とは言えない場所への立地を図り、業績を伸ばしています。店舗の大型化を図ることで品揃えを充実させ、不便な場所でも行ってみたいという意欲を引き出し、またわざわざ足を運ばせるというフィルターを設けることで、購買意欲の高い顧客を来店させます。購買意欲の高い顧客に対して、専門教育を受けた専任アドバオザーによるマンツーマンの接客を行い成約率を高め、さらに販売コストを吸収するために高級家具に絞り込んでいます。

 同様のニーズを満たすにもさまざまなビジネスモデルが存在します。一つの企業にとってビジネスモデルは結果的には一つしか生まれませんが、その一つとは無数にある選択肢の中の一つということです。

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