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This is the archive for May 2017

2017/05/15

「鑑定士と顔のない依頼人」
 ヒッチコックやガス灯を思わせるような心理劇の名作。主人公は孤児として育てられる中で絵画の真贋を見抜く鑑定士に付き添う機会があり、その技術をマスターし、今では絵画オークションをする重鎮鑑定士となる。しかし、女性との付き合い方が分からず、結婚歴もない。あるとき相続した家の中の骨とう品を売りたいので見に来てほしいという女性からの依頼を受け訪問するが何度もすっぽかされ、そのたび謝罪の連絡が来る。その女性は広場恐怖症という病気で人前に姿を現すことができない。何度もやり取りをし怒りと謝罪が繰り返されるうち、主人公は次第にひかれていき、顔を見せてくれた彼女を愛するようになり、絵画コレクションが収納され誰にも見せたことのない部屋に招き入れるまでに信頼する。しかし、オークションの仕事から帰ると、彼女はおらずコレクションすべてが持ち去られていた。

「ガス燈」
 心理描写が精緻な映画。主人公の女性は結婚することとなった男性と住む場所を考え、結果的に不審な死を遂げたおばさんの家に住むこととなる。しかし、男性が優しかったり冷たかったりすることで心理的に追い詰められていく。しかも、夜になると誰もいない屋根裏から音が聞こえたり、室内のガス燈がうす暗くなった後また明るくなった直後にいつも夫が仕事から帰ってくる。この家での事件に関心を持っていた刑事が男性に不信を抱き、家に乗り込み男性の陰謀を暴く。

「めまい」
 妻殺しで遺産を手に入れようとする男性の策略に乗ってしまう主人公だが、知恵と勇気と真実に対する追求心で道を切り開き、真実を突き止める。最初は仕事で主人公に接していた女性が主人公を愛するようになっていく展開は、「北北西に進路を採れ」(いずれもヒッチコック)と同じだ。

「ダイハード4」
 ハッカーのコンピューター侵入で社会基盤が狂うことを取り上げた報道番組で、ダイハード4が引用されていた。コンピューター制御をハッカーにより乗っ取られる危険性を指摘して相手にされなかった優秀な公務員が、腹いせか自己能力の誇示かのために、ファイヤー・セール(投げ売り)のサーバーテロを試み、交通機関(第1段階)、金融・通信(第2段階)、電気・ガス・水道・原子力(第3段階)を乗っ取ろうとする。彼の狙いは、通信網・交通網を遮断し、インフラも使えないようにして、社会を原始時代に逆戻りさせることだ。ニューヨーク市警のマクレーン警部がそれに立ち向かい、一人のハッカーの力を借りて、その試みを阻止する。もう一度見たい映画だ。

「アナザープラネット」
 人間の良心を見つめた韻文的で秀逸な作品だ。ローラはMITの優秀な女学生。しかし、飲酒運転で一家3人の人生を狂わせた。夫のジョーンは昏睡状態、妻と子は死亡という大事故を起こしたのだ。4年間の刑務所暮らしの後、同級生に溶け込めず清掃の仕事に就く。インターネットで被害男性の住所を見つけ、清掃の無料お試しとして訪問し、清掃をするが、謝罪の時期を失い少しでも幸福にしてあげたい一心で尽くしていく。巷では、地球と同じ様相の惑星に連絡ができ、その惑星への旅行希望者の募集が始まり、ローラは当選する。そのことを伝えにジョーンの所へ行くと、ジョーンは祝ってくれるが行かないでくれと懇願する。ローラは、自分の罪を告白する。怒ったジョーンに追い出されたローラはその惑星が見つかった時から地球とのシンクロが狂ってきていることを知り、ジョーンに宇宙旅行のチケットを譲る。