Skip to main content.
*

2010/12/15

小規模事業者支援促進法

 小規模事業者の経営基盤の充実を目的とした小規模企業対策の中核的実施機関である商工会などの支援機能を強化するための法律です。法律の仕組みは、経済産業大臣が基本指針を策定し、当該指針に基づき商工会などが基盤施設計画や連携計画を作成し、都道府県知事が認定します。認定計画実施者に対し、補助金、高度化出融資、債務保証、課税の特例などの措置が講じられます。

 経営改善普及事業としては、経営指導員などによる相談・指導、記帳指導、国際化推進事業、創業人材育成事業、JAPANブランド育成支援事業等があります。

 JAPANブランド育成支援事業は、地域が一丸となって、地域の伝統的な技術や素材などの資源を活かした製品等の価値・魅力を高め、「日本」を表現しつつ世界に適用する「JAPANブランド」を実現するプロジェクトに対し、商工会・商工会議所等を通じて総合的に支援する事業です。地域の強み・弱みなどを分析し、明確なブランドコンセプトと基本戦略を固めるため、専門家の招へい、マーケットリサーチ、セミナーの開催などの取り組みを支援する「戦略策定支援」(定額補助:1件あたり500万円)、中長期的な視野に立ったブランド確立への取り組みを支援するため、最大3年にわたり、デザイナー・アドバイザー招へい、新商品・デザイン開発、国内外の展示会出展等の取り組みを支援する「ブランド確立支援」(補助率3分の2:補助額上限2000万円)、関連プロジェクトのうち、ブランド価値の向上と本格的な事業展開に向けた先駆的な事業を行う先進的プロジェクトを選定し重点的に支援する「先進的ブランド展開支援」(補助率3分の2:補助額上限2000万円)を行います。

小規模企業者等設備導入資金助成法

 小規模事業者などの創業および経営基盤の強化の促進を目的とした法律です。貸与機関(都道府県等中小企業支援センター)が小規模企業者に対して創業及び経営基盤の強化に必要な設備資金を無利子で貸し付けたり(設備資金貸与事業)、必要な設備を貸与機関が小規模企業者に代わって購入し、小規模企業者に貸与(割賦販売、リース)する事業です。

共済制度と経営改善資金融資制度(マル経融資)

 小規模企業共済法に基づき、小規模企業者の相互扶助の精神により、小規模企業者の福祉の増進と小規模企業振興への寄与を目的とした小規模企業共済制度(経営者の退職金共済制度)があります。中小企業基盤整備機構が運営を行い、小規模企業者が掛け金を積み立て、廃業や役員の退職などの給付事由が発生した場合、共済金を一括または分割で支払います。掛金は全額所得控除され、納付した掛金総額の範囲内で事業資金などの貸し付けが受けられます。

 また、商工会などの行う経営改善普及事業を金融面から補完するのが、小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)です。これは、日本政策金融公庫(国民生活事業)が行う無担保・無保証人・低利の融資制度です。

2010/11/15

中小企業連携組織対策

⑴中小企業等協同組合法
 一般に不利な立場に立たされている中小企業者が、相互扶助の精神に基づき、協同して経済事業を行うことにより、公正な経済活動の機会を確保するとともに、その経済的地位の向上を図ることを目的とした法律です。この法律では、組合制度および中小企業団体中央会について規定しています。

①中小企業等協同組合法に基づく組合制度
 組合制度は、中小規模の事業者、勤労者などが組織化し、相互扶助の精神に基づき、協同して事業に取り組むことによって不足する経営資源の相互補完を図るものです。事業協同組合、事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合の6種類があります。このうち、事業協同組合(総数:約38000)は、中小企業者が新技術・新商品開発、新事業分野、市場開拓、共同生産・加工・販売などの共同経済事業を行うことにより、新事業展開、経営革新、経営効率化などを図るための組合です。また、企業組合(総数:約2500)は、個人が創業する際に、会社に比べ少額の資本で法人格を取得でき有限責任のメリットを享受できるように考えられた、いわば簡易な会社ともいうべき組合です。

②中小企業団体中央会
 中小企業の振興・発展を目的として、その連携・組織化による創業、新事業展開、経営革新などを推進することを目的とした支援団体で、都道府県中小企業団体中央会と全国中小企業団体中央会からなります。

⑵中小企業団体の組織に関する法律
 中小企業者が協同して事業を行うことによる、公正な経済活動の機会の確保を目的とした法律であり、協業組合、商工組合、商工組合連合会を規定しています。このうち協業組合は、中小企業者がお互いの事業を統合(協業)し、事業規模を適正化することにより生産性の向上を図ることを目的とする組合です。事業協同組合、企業組合、協業組合からは、株式会社への組織変更が可能です。

⑶商店街振興組合法
 商店街が形成されている地域で、小売商業、サービス業、その他の事業を営む者が、協同して地域環境の整備改善事業や共同経済事業を行い、構成員の健全な発展に寄与するとともに、公共の福祉の増進に資することを目的とした法律です。この法律では、商店街振興組合、商店街振興組合連合会について規定しています。

「農商工等連携促進法」に基づく支援

 地域を支える中小企業の経営の向上および農林漁業経営の改善を図るため、中小企業者と農林漁業者が連携し、それぞれの経営資源を有効に活用して行う事業活動を総合的に支援することを目的に、平成20年7月21日に施行されました。連携して新事業展開に取り組む中小企業者と農林漁業者は、新商品・新サービスの開発等を行う「農商工等連携事業計画」を共同で作成し、国が認定すると各種支援を活用できます。また、NPO法人、公益法人が、中小企業者と農林漁業者との連携を支援する「農商工等連携支援事業計画」を作成し、国から認定を受けると、中小企業とみなされ、中小企業信用保険法が適用され、その特例を活用できます。

2010/10/15

 中小企業支援法は、中小企業基本法の改正に合わせ、旧中小企業指導法から2000年4月に改正されました。

各種支援センターによる支援と中小企業基盤整備機構による支援

 地域中小企業支援センターでは、創業予定者や経営革新などの課題を有する地域の中小企業者等が、さまざまな悩みを気軽に相談できる身近な相談拠点です。市町村区域の商工会・商工会議所等の機関に設置され、企業経営等についてきめ細かに相談に応じています。

 都道府県等中小企業支援センターは、中小企業支援法に基づく指定法人で、都道府県および政令指定都市が行う中小企業支援事業の実施体制の中心です。中小企業者の経営資源の円滑な確保のためさまざまな支援を行います。

 中小企業基盤整備機構は中小企業者その他の事業者の事業活動に必要な助言、研修、資金の貸付、出資、助成及び債務の保証、地域における施設の整備、共済制度の運営などの事業を行い、もって中小企業者その他の事業者の事業活動の活性化のための基盤の整備を行う独立行政法人で、①ベンチャー支援(ベンチャーファンド・「がんばれ!中小企業ファンド」出資事業等)②経営支援(情報化・技術力向上・国際化の支援等)③人材育成支援(中小企業大学校による人材育成等)④共済制度の運営(小規模企業共済制度・中小企業倒産防止共済制度)⑤産業用地・施設の紹介、という事業を行っています。

さまざまな支援例

①IT化支援
 中小企業IT経営革新支援事業では、中小企業を中心としたコンソーシアム、組合、連合会、団体を対象に、中小企業における社内基幹業務システムと、仕様の異なる複数のEDI(企業間のデータの電子的交換)システムとの連携を図るためのインターフェースソフトウエアの開発や実証等の事業に対し、一定の要件を満たした場合、国から委託費として支払を受けることができます。
 また、中小企業ビジネス支援検索サイト「J-Net21」は、中小企業基盤整備機構が、インターネット上に「中小企業に関する総合的な情報提供サイト」を開設しており、さまざまな情報を検索できるポータルサイトです。成功事例集、製品・技術・取引情報の提供も行っています。

②知的財産に関する支援
 啓発普及事業として、全国の商工会・商工会議所に「知財駆け込み寺」としての、相談取次窓口機能の設置、知的財産を中核に据えた企業活動の普及を目的としたセミナーの開催等を行っています。また、保護対策事業として、海外で知的財産権の侵害を受けている中小企業に対して、模倣品・海賊版の製造元や卸元等の特定調査に要する経費の一部に対する補助事業です。

③技術基盤の強化
 地域の産学官による新産業・新事業の創出に資する実用化に向けた高度な研究開発について、委託金を交付する事業です。地域の産学官(企業、大学、公設試等)からなる共同研究体(コンソーシアム)の研究開発テーマが支援対象となります。

2010/09/15

 中小企業新事業活動促進法では、中小企業の新たな事業活動を促進するため、①「創業」の支援、②「経営革新」の支援、③「新連携」の支援、④「技術革新」の支援、⑤「地域における」支援の五つの主な支援策があります。

創業の支援

 これから事業を開始しようとする個人や創業5年未満の事業者(各種組合やNPO法人は対象外)などについては、中小企業技術革新制度(SBIR)により、中小企業信用保険や中小企業投資育成株式会社法の特例により資金調達を支援します。

 創業者に対する支援については、中小企業新事業活動促進法に基づく支援以外にも、日本政策金融公庫による新創業融資制度があります。これは、担保の有無や勤務経験などの形式的な要件に依存しないで、事業計画が的確であれば、無担保・無保証人で1000万円を限度に融資を行う制度です。雇用創出を伴ったり、多様なニーズに対応する事業を始め、すでに開業している場合は税務申告を2期終えていないものが対象で、開業資金総額の3分の1以上の自己資金を確認できることが条件です。

経営革新の支援

 個別の中小企業者、組合および任意グループ等が、国または都道府県から経営革新計画の承認を受け、新事業活動を行う上での支援を受けます。経営革新計画には、新事業活動に関する内容のほかに「経営の相当程度の向上」を示す経営目標を盛り込むことが必要です。指標は「付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)または従業員ひとり当たりの付加価値額」及び「経常利益(営業利益―営業外費用等)」の伸び率です(3年計画の場合、前者は9%以上、後者は3%以上必要)。支援措置には融資、税制など多様なものがあります。なお、経営革新計画の承認を受けても各支援策が受けられるとは限りません。計画の承認とは別に、各支援策の個別審査を受ける必要があります。

新連携の支援

 対象は、代表企業(コア企業)を含めて2社以上の異分野の中小企業者(他に組合、大学、研究機関、大企業、NPOなどを含むことができる)で連携して、新たな事業活動に取り組む者です(参加する営利企業のうち、企業数、あるいは事業費等で勘案した実質的な事業に対する貢献度合いで中小企業の占める割合が半数以下の場合は、支援対象外です)。新連携事業の計画内容については、異分野の事業者が経営資源を有効に組み合わせて、新事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図るものであることが必要です。具体的な販売活動が計画されているなど事業として成り立つ可能性が高く、継続的に事業として成立することが求められます。支援にあたっては、各地域に設置された新連携支援地域戦略事務局が中核となって、計画の策定から事業化まで一貫した支援を行い、さらに地域の総力をあげて支援するため、新連携支援地域戦略会議が設置されています。計画期間は3~5年間であり、財務面では、新事業活動により持続的なキャッシュフローを確保し、10年以内に融資返済や投資回収が可能なものであり、資金調達コストも含め一定の利益をあげることが必要です。

2010/08/15

 中小企業税制を活用することで税負担が軽減されれば、自己資本が多く蓄積され、将来の再投資に活用することができます。

青色申告制度

 青色申告制度は、会計取引を正規の簿記の原則(複式簿記)に従い会計帳簿に記入し、その帳簿に基づき税務申告をする者に対して、欠損金の繰越控除、特別償却などの特典を与える制度をいいます。

 欠損金の繰越制度とは、欠損金が生じたとき、その欠損金額を一定の条件のもとに、以後の事業年度から生ずる所得から控除できる制度です。青色申告書を提出している法人であれば、7年間、翌事業年度から欠損金の控除を順次行うことができます。特別償却とは、減価償却資産について、初年度に普通償却に加えて一定割合を上乗せして償却することです。

 個人事業者における青色申告の特典としては、事業所得または不動産所得の事業を営む者は65万円、それ以外の事業を営む者は10万円の所得控除が適用されます。さらに、青色申告者の家族専従者は、家族専従者に対する給与の支払いが、その労務の対価として相当であると認められる場合は、その全額を必要経費に算入できます。

法人税の軽減税率等

 中小企業は大企業に比べて、低い法人税率が適用されます。
 まず、法人税における中小企業(中小法人)の定義と、中小企業基本法における定義とは異なっています。後者においては、業種ごとに資本金と従業員数に応じて定義され(製造業・建設業・運輸業等では3億円以下または300人以下、卸売業では1億円以下または100人以下、小売業では5千万円以下または50人以下、サービス業では5千万円以下または100人以下)ているのに対して、前者では業種を問わず一律資本金1億円以下となっています。

 法人税法上、課税所得に対する法人税率は原則として30%です。しかし、資本金1億円以下の中小法人については課税所得800万円以下までに対して法人税率は18%と軽減税率が適用されています。ただし、この18%という軽減税率は、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する事業年度までに適用される時限措置であり、平成20年度までは22%でした。

 また、交際費は原則として損金算入ができませんが、中小法人に対しては年600万円まで(平成22年4月1日以後に終了する事業年度から適用。それ以前は年400万円まで)の支出額の90%までは損金算入ができます。

 その他の税制措置制度として、エンジェル税制があります。これは、個人投資家のリスクを軽減し、中小企業への資金供給を円滑化させ、新規産業の創出・発展を図ることを目的としたものです。この制度の対象となるのは、創業期(設立10年未満)の中小企業者に該当する未上場の株式会社のうち、いくつかの要件に該当するものであり、制度の内容としては、個人投資家が当該株式に投資した場合、譲渡等をすることによって利益・損失が発生した場合のいずれでも、課税の特例が受けられます。

2010/07/15

政府系金融機関による融資と信用補完制度

 株式会社日本政策金融公庫(以下、日本政策金融公庫とする)は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民一般、中小企業者および農林水産業者の資金調達を支援するための金融の機能等を促進するために設立された全額政府出資の金融機関です。平成20年10月1日から、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫等が統合され、新たに日本政策金融公庫としてスタートを切ることとなりました。

 中小企業事業(旧中小企業金融公庫)では、新事業などのリスクの高い分野や、中小企業の経営革新、環境対策、地域経済の活性化、雇用確保に貢献する設備投資の喚起など、民間金融だけでは十分対応できない分野に対して長期・低利の貸付を行ないます。国民生活事業(旧国民生活金融公庫)では、小企業への小口事業資金融資をはじめ、教育資金融資、恩給や共済年金等を担保とする融資など国民生活に密着した幅広い貸付を行ないます。貸付限度額は一般貸付は原則4800万円、特別貸付は国の政策目的に応じて異なります。

 信用補完制度は、担保力や信用力が不足する中小企業者への事業資金の融通を円滑化することを目的に、中小企業の信用力を補完する制度であり、信用保証制度と信用保険の2つからなります。信用保証制度では、民間金融機関からの借入が困難な中小企業者に対して、信用保証協会が保証料を徴収して債務保証を行い、金融機関が融資します。その後、債務の返済が困難になった場合には、中小企業者に代わって信用保証協会が代位弁済(保証債務を履行)します。その後は、信用保証協会に求償権が発生し中小企業者から債権回収を行います。信用保険は、信用保証協会が日本政策金融公庫(中小企業事業)との間で、保証債務についての保険契約を締結し、保険事故発生(信用保証協会が代位弁済した)の場合は、日本政策金融公庫(中小企業事業)から保険金(原則として代位弁済額の7~8割)が支払われます。信用保証協会は、中小企業の事業資金の融通を円滑にすることを目的に設置された認可法人で、全国52か所にあります。

経営安定対策

 経営安定特別相談事業は、中小企業の経営危機の問題の円滑な解決のための相談・指導事業であり、全国の主要な商工会議所や都道府県商工会連合会に経営安定特別相談室が設置されています。商工調停士やその他の専門スタッフが無料で相談を受けています。また、取引先の倒産などの影響により自らも倒産に陥ってしまうことを未然に防ぐ連鎖倒産防止のために、セーフティネット貸付、経営安定関連保証制度(セーフティネット保証)、中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)があります。

 その他の資金供給の制度として、売掛債権だけでなく、法人の場合は棚卸資産(商品、製品、原材料等)についても担保として信用保証協会が債務保証する流動資産担保融資保証制度、第3者に保証人を依頼することや担保(不動産、有価証券等)を提供することが困難な中小企業に対し、日本政策金融公庫(国民生活事業)が融資を行う第3者保証人等を不要とする融資制度があります。