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This is the archive for March 2009

2009/03/15

事業承継対策の大切さ

 中小企業は、企業数で全体の9割以上、法人・個人事業主を含めると、約433万とされています(中小企業白書2006年版)。また、雇用では約7割を占めており、優れた技術を持つ中小企業の健全な発展のために環境を整備し、未来に継続していくことは、日本経済が継続的に発展を続けていくために必要不可欠なことです。

 ここ20年間で中小企業の経営者の平均年齢は58歳となり、6歳近く上昇しています。このような高齢化の進む中にあっても、事業承継は①経営者にとって遠い将来の話である②経営者が影響力を維持したい③「死という不幸」を連想させる問題であり避けていたい、ことを理由としてその対策を先送りしがちです。

 中小企業の経営者自身が考える引退予想年齢の平均が約67歳であることを踏まえてみれば、過半の中小企業が今後十年程度の間には、この問題の対応に迫られることになるでしょう。

事業承継計画の必要性

 男性の生存率表のグラフを見ると、経営者の平均年齢となっている60歳前後から、生存率のカーブは大きく下降し始めます。また、急病等によりある日突然経営を行えなくなり引退することになる可能性も十分に考えられます。

 それでなるべく早い時期から着実に事業承継の準備を進めておくことが必要です。親族内で承継する人がいるならば、その人に社内業務を理解してもらうための教育を行うことも必要でしょう。また、自社株式や事業用資産の後継者への集中を円滑に進めることも一朝一夕に済む話ではありません。

 また、親族内で承継する人がおらず、社内または社外から承継する人を選ぶならば、その選定と社内にその人が受け入れられるようにするような方策を考えなければなりません。M&A等により会社を売却するにしても、買い手を見つけることも簡単な話ではありません。十分な時間を取って確実に進めていくことが必要です。

事業承継の内容

 経営者から後継者へ事業を承継するという場合、次の2つの内容に応じた配慮が必要です。

①経営そのものの承継
 後継者は、経営者として必要な業務知識、人脈、リーダーシップ等のノウハウを習得することが求められます。さらに、事業承継の本質は、経営者の経営に対する思いや価値観、態度、信条といった経営理念を伝えることです。現経営者は自社の経営理念を明確化し、「何のために経営をするのか」を後継者にきちんと承継します。

②自社株式・事業用資産・資金の承継
 後継者が安定的に経営をしていくためには、後継者に自社株式や事業用資産を集中的に承継させることが必要です。経営者に子どもが複数いて、そのうちの一人を後継者とする場合には、後継者でない子どもの遺留分を侵害することがないように、自社株式や事業用資産以外の財産を後継者でない子どもが取得できるようにして、相続紛争を未然に防止することが必要です。
また、後継者や会社は、自社株式や事業用資産の買い取りや相続税の納付のため、多額の資金が必要になる場合があります。事前に必要な資金を確保しておくことも大事なポイントです。