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This is the archive for August 2007

2007/08/15

「聴く」と「くりかえす」で共感を作り出す

 話の聴き方にはいろいろな種類があります。自分の枠組みで相手の主張を解釈したり、発言の意味を正確につきとめようとして、根掘り葉掘り質問したりするのではなく、相手の話をそのまま聴く「共感的」な聴き方が大切です。

 共感的な聴き方には、しっかり聴いているというサインを送るために「なるほど」「そうですか」など「うなずく」ことが効果的です。もう一つは発言の内容を復唱することも効果があります。「そんな経験をされたんですね」と発言の最後の部分を繰り返すことから始めて、発言の中からキーワードを拾い出し、それをそのまま投げ返すようにしたり、自分の言葉で、「要するに…とおっしゃりたいのですね」「私は…というご意見だと受け止めましたがそれでいいですか」という受け答えができるようになると、内容を確認することにもなり、解釈の統一がはかれます。

 ミーティングの進行役がこのような聴き方をすれば、自然とメンバー全員が話を聴くようになります。発言をロクに聴こうともせずに割り込んでくる人がいたら、「せっかくですから最後まで聴きましょう」「どうぞ続けてください」と言って発言者を守ることも大切です。

「場づくり」を成功させる秘訣

①全体の流れに対して同意を得ておく
 話し合いの全体像を理解していれば安心して発言しやすくなります。進行役は複数の流れを提案してどれかを選ばせたり、参加者に流れを考えてもらったりするなど、流れを決めることから参加してもらいます。

②議論の前提を確認したり、話し合いに必要な知識を分かち合う

③参加者の人柄や考え方を知り合う
 それぞれが持つ背景が分からないと、発言をどう解釈してよいか分からず、自分の発言がどのように理解されているかもつかめません。お互いに安心して発言できなくなります。それで話し合いの最初に、お互いに打ち溶け合って場の雰囲気をなごませるために「アイスブレイク」が有効です。プロフィールだけではなく、「私の好きなこと」「動物にたとえると」など、ちょっとした話題をはさんだ自己紹介や、お互いを知り合うために隣の人の自己紹介を聞いて第三者に紹介する「他己紹介」をするとお互いの人柄が良く分かります。

④思いを語り合う「対話」を活用する
 コミュニケーションで大切なのは言葉そのものではなく、そこに込められた「意味」を理解することです。なぜその人はそのような発言をするのか、その主張はその人にとってどんな位置づけにあるのか等、発言の意味することを分かち合ってこそコミュニケーションです。聞き手だけではなく話し手本人も自分の言葉に耳を傾けるのです。ありのままを受け止め、一緒になって意味を考えていく、そうしているうちに新しい仮説や発想が生まれてきます。

 そのような思いを語り合う「対話」を活用することで、お互いの信頼関係が築かれ、話し合いの場がしっかりと形づくられていきます。

(堀公俊『「話し合い」の新技術』プレジデント社を参考にしました)