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This is the archive for February 2017

2017/02/15

 将棋や囲碁と比べて、麻雀は勝敗が少なくとも短期的には運の要素に左右されやすいせいか、NHK等の公共放送にはあまり登場しない。この麻雀のイメージを悪くしていた「酒を飲む」「タバコを吸う」「お金を賭ける」を排除した「健康マージャン」が普及してきており、大会が行われると、小学生から高齢者までが参加するようになった。医師は認知症の予防に効果的だとして健康マージャンを勧めており、私も始めた。

 麻雀で用いる牌は、天宙と人生を示唆しているようで興味深い。字牌と数牌からなるが、字牌は「白」「発」「中」という三元牌と、「東」「南」「西」「北」という4種類の風牌により成り、数牌は「草子」「萬子」「筒子」の3種類が、それぞれ1~9の9種類がある。7種類の字牌と27種類の数牌は、いずれもそれぞれ4枚を擁し、136枚の牌を積んだり崩したりして遊ぶゲームだ。

 私見だが、「白」は陰性、「発」は陽性、「中」はその中和を表現し、この3種類で天を表わしている。「東」「南」「西」「北」は方角で張られる地を表す。「草子」は中性、「萬子」は女性、「筒子」は男性を表し、数字の最小値「1」と最大値「9」の間の27種類、108枚の数牌は、さながら数字と能力で彩られる男女間の人生模様を表しているようだ。

 卓を囲む四人は、最初配される13枚の牌を自己の前に並べ、一枚ずつ順番に持ってきて(自摸)不要牌を捨てる。役を作るのだ。めったにできず美しい並びの役は高価、ありきたりの役は低価で、一局が終了するたびに和了(役を完成させること)者は点棒を他の人より受け取る。

 中国で発祥した麻雀だが、日本に伝わってきて、その局で自分が捨てた牌と同じ種類の牌を他者が捨てても、それでは和了できない等の、より精緻なルールができて遊技としての質が高くなったようだ。

 麻雀を人生に置き換えれば、配牌は出自のようなものだ。役作りを構想し牌移動を繰り返すことは、人生の目標を定めて努力している様を想起させる。局と場は人生の区切りを示し、今日、今月、今年うまくいかずとも、再起を期してまた翌日、翌月、翌年への挑戦を繰り返す。

 同卓する3人は、半荘が継続する間、自分の打牌、和了、完成した役の内容を目撃する者で、自分の幼少時代、結婚時代、老後の時代を共にする家族や知り合いのようなものだ。

 勝負事なので結果に一喜一憂しがちだ。しかし、強くなければ生きていけないが、優しくなければ生きる意味がない人生と同様に、強くなければやり続けられないが、マナーを守り他者の和了を認める優しさがなければする意味がない。そして、優しさがあってこそ、真の強さともなる。

 人生の達人は、死期が近づくと「いろんな人にお世話になり、面白い娑婆だったちゃ」と感慨深く語るが、雀卓を離れる時には「お陰様で面白いゲームを共にできてありがとう」と言いたいものだ。
「誤診」
 幸福な一家に不幸が襲う。幼い次男がてんかんになり、病院で薬の投与を次々受けるが、どんどん悪くなる。病院は家族の思いを顧みることなく、科学的な治療を進めていく。母親は図書館に通っててんかん治療の方法を学び、食事療法が効果的であることを知る。次の日に脳の手術をするというときに、息子を連れ出そうとするが、病院に見つかる。夫の知り合いの医師の協力を得て、食事療法をしてくれる病院に飛行機で連れていき、断食から始まる食事療法により良くなり、3年間で完治する。科学的手法といいながら行われていた方法は、患者や家族を虐待していたと変わらない。最後の場面では、食事療法をしている病院への連絡方法を紹介し、その方法を用いて治った映画出演者を紹介していた。感動的な実話だ。

「マイフェアレディ」
 イギリスを舞台に、音声学(発声学)の教授が下品な花売り娘に会い、花屋さんの売り子になりたいという娘の要望に応じて、音の発音から矯正し上品な娘に改造していく。舞踏会で皇太子からダンスを求められるほどに美しく変貌していく。ことばにこだわりを持つイギリスならではの作品。オードリヘップバーンが、当初は下品に振る舞い、次第に洗練された姿を演じ分けているところが見どころ。

「ビッグフィシュ」
 幻想的な部分も含む、男の仕事と家族との人生の話。社交好きで多くの人に好かれる父親がする話は荒唐無稽な作り話が多い。息子は、小さい時は本当のことと思っていたが、長ずるに従いうそが多いことを知る。しかし、その動機は人々を喜ばせようというもので、死に面している父親の過去を調べると、多くの人に尽くしてきたことを知る。父から聞く5メートルもの巨大な魚の話を、息子は作り話として好きではなかったが、父の死後自分も息子にその話をしている。

「コーリング」
 医療活動のために、身重の身でありながら奥地に入って活動していた妻が、バス事故で死亡する。夫で医師の主人公は悲嘆にくれる。妻の元患者などから自分へのメッセージを受け、さらに直接妻が霊的に現れ、事故現場へと調査に行く。バスが落ちた湖に飛び込み、運び込まれたであろう村に入っていくと、そこに妻が生んだ女児がいた。妻は、そのことを知らせるために、私を探してというメッセージを死後送り続けていたのだった。

「アイアムサム」
 知能指数が7歳の父親が、娘のルーシーを育てることは許されるかどうかをめぐり、法廷闘争となる。養親となった夫婦も最後には、ルーシーはサムによって育てられるのが良いと考えるようになる。

「インサイダー」
 タバコ製造会社に勤めながらも喫煙の害をよく知る化学博士が、良心ではたばこの害を世間に訴えることの重要性を理解しながらも、家族と経済的利益を守るために苦悶する。その人を支援するマスコミ人が主人公。マスコミ人の正義と誇りを考えさせられる。実話を元にした作品

「ホテルルワンダ」
 ルワンダにおける、フツ族がツチ族を百万人殺害した実話をもとにした話。ツチ族の妻を持つフツ族のホテル支配人が、国連軍、政府軍、警察、フツ族の殺戮者集団、ツチ族の反乱軍の力関係の中で、勇気と知恵をもってホテルにやってきた1200人以上の命を守った実話。