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This is the archive for January 2014

2014/01/15

 昨年は、訪日外国人の数が千万人を突破し、大勢の観光客が日本に訪れるようになってきた。ちなみに、私が住む富山県の在留外国人の中では、パキスタン人やロシア人の数が全国十位くらいに位置し、それぞれ日本全体の中ではそれぞれ3~4%を占めている。百分の一県と言われる富山県にしては、相対的に多いと言えよう(「平成20年版在留外国人統計」財団法人入管協会発行参照)。

 今後、短期滞在の訪日外国人であれ、中長期滞在の外国人であれ、イスラム教国出身の外国人と接する機会が増えるだろう。しかし、日本人は一般的にイスラムの人々と接する機会が少ない。私が知っているのも、豚肉は食べてはいけないとか、一日5回聖地に向かってお祈りをするとか、一か月続く断食月は日の出前から日没までは飲食してはならないきまりがあることぐらいだ。相互の文化をよく知るには観光旅行や文化交流だけでなく、仕事として外国で住みながら活動する人が増えると、さらにその活動が明確なミッションを伴っていると、日本人と相手国の人の生き方や深い精神性までも伝わり、深い交流ができそうだ。

 2012年8月20日に、世界の紛争地を取材、報道し続けたジャーナリストの山本美香氏が、滞在中のシリアで銃撃を受け亡くなった。2001年9月11日の米国同時多発テロ事件発生後、米国や英国らがアフガニスタンを空爆した頃には同国に滞在し取材と報道を続け、2003年3月に米国らがイラクに侵攻したときも、事前にバグダッド入りして取材を続けていた。危険地に赴く山本氏の思いは、「外国人ジャーナリストがいることで最悪の事態を防ぐことができる、抑止力」との直筆のメモに端的に表れている。とりわけ、男性優位社会であるイスラム圏では伝わりにくい女性社会の中に入り込み、女性の視点からイスラム社会の様子も伝えた。山本氏の生き方に影響されジャーナリストの道を志す女性も現れているという(『山本美香という生き方』、日本テレビ放送網株式会社)。

 イスラムの人々は日本人が考える以上に日本のことをよく知ろうとしている。ペルシャ湾岸の国UAEのアブダビ市の小学校では日本語クラスがあり、中央アジアのウズベキスタンなどでは日本語弁論大会が開かれ、トルコでは、日本研究の学会がトルコ人研究者たちにより、日本語を用いて定期的に開催されているという(宮田律著『イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか』新潮新書)。

 日本人はもっとアラビア語やトルコ語等を学ぶべきではなかろうか。私は一昨年、一般社団法人ビブリオ国際交流会(現在は休眠中)を設立し、昨年アラビア語講座を開設したが、参加者が少なく経営的には失敗だった。いずれ同志の人と集ってイスラム文化に親しみ交流し、イスラムの人々の中に日本ファンがもっとできるようになれば、日本の安全保障上も、また多文化社会を構築していくうえでも、良い方向に働くのではなかろうか。
「定住者」と「永住者」

 「定住者」の在留資格に該当する活動は、法務大臣が特別の理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者としての活動です。在留中に行うことができる活動の範囲に制限はありません。「定住者」と「永住者」とは、日本に在留中に行うことができる活動の範囲の制限がないこと及び法務大臣が特別の理由を考慮して居住を認める地位であることにおいて共通しますが、「永住者」は無期限に日本に在留できるのに対して、「定住者」は一定の在留期間が指定される点において異なります。

 在留資格認定証明書の交付に際して入国審査官が「定住者」の在留資格を決定できるのは、法務大臣が告示をもってあらかじめ定める地位を有する者としての活動を行おうとする外国人の場合に限られます(告示定住)。それ以外の場合は、在留資格認定証明書の交付は得られず、他の在留資格からの在留資格変更により定住者の在留資格を得ることになります。

告示定住

 法務大臣が定住者告示をもってあらかじめ定める地位は、第1号から第8号まであります。「日本人の子として出生した者の実子であって素行が善良である者に係るもの」(3号)、及び「日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子であって素行が善良であるものに係るもの」(4号)は、日系二世及び三世を定住者として受け入れるための規定です。日系人は結局、①日系二世、②三世及び③四世のうち三世の扶養を受けて生活する未成年、未婚の実子までが定住者告示による上陸、在留が認められます。ただし、四世については年齢が高くなるにつれて、「定住者」での上陸不許可となる可能性が高くなります。

 連れ子の在留資格については、連れ子の実親の在留資格により異なります。実親が「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を持って在留する場合は、当該配偶者の実子(離婚又は死亡した配偶者との間の子及び非嫡出子)は「定住者」の在留資格が得られます。就労資格で在留する外国人の配偶者(「家族滞在」の在留資格が得られます)の連れ子は、当該連れ子と就労資格で在留する外国人とが養子縁組をする場合は「家族滞在」が得られますが、養子縁組をしない場合は、「短期滞在」での上陸後に「特定活動」に在留資格を変更することになります。

告示外定住

 日本人、「永住者」又は特別永住者である配偶者と離婚又は死別した後も引き続き日本に在留することを希望する外国人の場合、それらの者との間に出生した子がいなくとも、実態のある婚姻期間が3年程度以上継続していた事実があり、かつ独立した生計を営むに足りる資産又は技能を有するのであれば、「定住者」の在留資格が認められる可能性が高いです。配偶者によるDV被害が原因で離婚に至ったような場合には、可能性がより高くなります。

 日本人との間で出生した子(「日本人の実子」)を離婚・死別後に日本国内において監護養育する外国人の場合は、日本人との婚姻期間が3年程度に満たなくても、「定住者」への在留資格変更が許可されることが多いです。「日本人の実子」とは、嫡出・非嫡出を問わず、子の出生時点においてその父又は母が日本国籍を有している者をいいます。実子の日本国籍の有無は問いませんが、日本国籍を有しない非嫡出子については、日本人父から認知されていることが必要です。現在の実務運用では、妻がいる日本人父の愛人として外国人母が出産した実子も対象となります。