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This is the archive for March 2012

2012/03/15

 今年の1月29日、ウィングウィング高岡で行われた「コミュニケーションフォーラム北陸2012」(以下「コミフォ」)という催し物が行われ、私は、主に北陸三県から集った180名の参加者の1人だった。東京や名古屋ではなく、また組織動員とは無縁のコミュニケーションをテーマとしたフォーラムに、こんなに大勢の方が参加してくれるなんてと、主催者側スタッフでもないのに、感慨深いものがあった。そして、4年前にがんで亡くなった木津哲雄さんがこの場におられたらどんなに喜ばれただろうと思い、「あなたが灯してくださった火は少しずつ広がっています」と感謝をささげた。

 私が6年前から今日まで会員であるNPO法人日本ファシリテーション協会(以下「FAJ」)では、北陸で唯一富山に拠点(富山サロン)があり、毎月の定例会には、話し合いのプロセスや場の創り方に関心がある人が集って来る。

 平成18年の第2回定例会から参加したが、そこに木津さんがおられた。当時はまだ、富山ではファシリテーションと銘打った団体の活動は寡聞にして知らなかった。木津さんは、富山でもファシリテーションを学び体験できるようにしようと、FAJ中部支部の活動に参加するため名古屋まで何度も行って富山サロンを立ち上げて下さった。

 富山サロンの定例会は現在では毎回、20~30名の方が参加され、県内に知名度も出てきたが、設立間もないころは参加者がわずか2名というこ
ともあった。高岡でのコミフォは、ファシリテーションだけではなく、コーチング、マインドマップ、NLP(神経言語プログラミング)、交流分析等のコミュニケーションに関する団体からの参加者も大勢おられたとはいえ、ファシリテーションの火が消えるかもしれないその頃の状況を知る者として、感無量だった。

 人間は、自分のあずかり知らぬところの出来事を原因として、世界の中に産み落とされ投げ入れられたのだから、そのことを深く考えてしかるべきだが、衣食住を中心とした最低限の物質的条件を満たして存在を継続しなければならないので、十分深く考えることなく生き続けていることが多い。また、地球上に自分しか存在しない状況になれば、もはや生きていても死んでいても同じようなものだ。そういう意味で他者がいてコミュニケーションができることは、自分という存在の継続の大きな動機であり、成長の契機でもある。コミュニケーションにより何かが生まれ、文化が創られる。

 FAJ富山サロンでは、活動理念を40字で表現して、自分たちの活動の意義や方向性を共に考えるワークを4年ほど前に行った。この時、皆で意見交換しながら、最後に当時世話人であった木津さんは「富山サロンの活動理念は『場の紡ぎだす“何か”の可能性を信じる多様な人々が出逢い、共にワクワクと学び合い成長すること』です」とまとめてくださった。ありがとう木津さん。