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This is the archive for June 2011

2011/06/15

 会議等での決定事項が実践され、次の段階へ円滑に移行するためには何が肝要だろうか。

 コミュニケーションを研究する会合などでは、「ふりかえり」をとても大切にする。話し合いの最後に、メンバーが話し合いに参加していて気づいたことを順番に述べて行くのである。「こんな考えに出会って驚きました」「Aさんの発言はこんな局面に活かせると思いました」「前に学んだ考えとの共通性に気づきました」など、フランクに気づいたことを述べる。新たな気づきが生まれることが多く、楽しい時間である。

 ファシリテーターの養成を目的とする会合では、その場のファシリテーターを選んで会を進める。話し合いが終わると、ファシリテーターが効果的なファシリテーションを行っていたかを皆で検証し合う「ふりかえり」を行う。「参加者が楽しく自由な気持ちで参加するとともに、お互いに高め合うような意見交換が行われる場としていたか」という観点から、「良かった点」「問題と思われる点」「新たに挑戦したら良い点」ごとに、メンバーが率直に(人格否定はしない)意見を出し合う。とても貴重な成長の場であり、前段の話し合いの時間よりも、このふりかえりの時間の方が長くなることもしばしばである。

 このような「ふりかえり」の中で、認識の違いが浮き彫りになったり、活動の意義を再認識することにもなり、活動の継続にとって大きな役割を果たす。

 活動を継続させるということでは、似たテーマに関心を持つ人が集まれるようにすることも効果的だ。メインテーマのもと、より具体化したテーマごとにグループを作るために、参加者全員が自分が関心のあるテーマを用紙に書いて、それを見えるように持ちながら、部屋の中を歩き回ったことがある。似た関心事を持つ人たちがおのずと集まるようになる。

 同じ関心事を持つ人が集まるようにしてさらに議論を深めるということでは、OST(オープンスペーステクノロジー)という手法も、とても自由な雰囲気で刺激的だ。先着数名にテーマ出しをする権利を与え、準備された用紙にその場で議論したいテーマを書き込んで、参加者全員に見せる。テーマ出しが終わると、会場に設定された討論場所に各テーマが割り振られ、参加者は話し合いたいテーマの場所に移動して話し合う。

 「グループの中で貢献できていなかったり学習できていないなら、自分が学んだり貢献できるところに移動すべきである」という考えで運営されるので、討論メンバーの出入りが結構ある。自然界でハチが花から花へ移動して交配を手助けしているように、グループ間を移動する人は他のグループでの議論を紹介し、「ミーティングの交配」をすることが期待されるところがダイナミックだ。このような、参加者の自主的な参加による話し合いのやり方も「ふりかえり」と同様に、次につながりやすいコミュニケーションの方法だと思う。
 担保物権は、債務の履行の確保という点から見たとき、いろいろな手段があります。そのうち、どれを中心的な手段とするかによって、担保物権は種類が違ってきます。

 その第1は、目的物を取り上げて債務者に不便・苦痛というような心理的圧迫を加え、それによって弁済を促すという留置的作用です。この場合、目的物は債務者にとって主観的価値の大きいほど効果が大きいことになります。交換価値はなくても構いません。留置権と動産質権・不動産質権は、この作用に依存しています。第2に収益的作用があります。担保権の目的物が債務者だけが使用・収益しうるものではなく、債権者も用益することができるものである場合には、これを担保にとって債権者が自分で用益して、その収益を債権の元利の優先的弁済に充てていくのです。不動産質権がこれに該当します。第3の作用は、交換価値を利用するものです。もし債務者が弁済しない場合には、目的物を換価してその代価を優先弁済に充てる作用です。留置権を除いては、先取特権・質権・抵当権のいずれもこの作用を持っています。先取特権と抵当権は収益的な作用も留置的な作用もなく、原則として交換価値に依存しています。株券・社債・手形などの有価証券の質(権利質)も、交換価値を利用しています。

 また、約定担保(質権と抵当権において設定される担保)の目的物が次第に拡張されてきました。質権においては、動産、不動産、それ以外の財産的な権利(財産権)の3つすべてについて認められますが、抵当権の目的は不動産について認められるだけです。もっとも、権利のうちでも不動産物権、例えば地上権、永小作権などは、質権の目的とされるだけではなく、抵当権を設定することも認められているので、不動産の上のある種の権利は抵当権の目的となります。しかし、その範囲はわずかです。

抵当権の効力

 抵当権の効力として最も中心的なものは、抵当権によって、被担保債権について優先的な弁済を受けることです。担保物権を持っている者がその担保物権に基づいて競売をするのだから(担保競売といいます)、初めから競売の目的物は担保権の客体である動産、不動産その他の財産に特定されています。それに対して強制競売は債務名義を取得して、それに基づいて債務者の財産(動産・不動産、債権その他の財産、どれと特定されていない)を強制的に換価して、それから優先弁済を受ける手続きです。強制競売には、国家が認めた債権の目的を達成するために、債権者の請求によってではありますが、債務者の財産を取り上げて競売して買受人に与えるという強制手続という意思が強くあります。これに対し、担保競売は、担保物権者がその担保物権に基づいて換価するのに国家機関がお手伝いをするに過ぎないという趣旨が強くあります。

抵当権による物上代位

 担保物権は目的物の交換価値を把握する権利だから、目的物が滅失しても当然に消滅すべきものではありません。その点では、地上権や永小作権のような目的物を使用・収益する利益を把握している物権とは違います。それで、担保物権の目的物が収用されて収用補償金となり、または焼けて保険金に変わるのは、ある意味では交換価値の現実化であり、担保物権がこの上に効力を及ぼして本来の作用を発揮するのは当然です。民法が304条で物上代位という制度を定めているのは、担保物権者に特権を与えたのではなく、担保物権の性質に従った当然のことです。ただ、差し押さえることを要件としたのは、担保物権の目的物が一般財産の中に入って混ざってしまうと、特定することが困難になるからです。