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This is the archive for May 2011

2011/05/15

 折り紙やプラモデル等で何かを作るときに、手順を間違えると当初思い描いたものと異なるものとなってしまう。人間も同じで、人生を生きて行くうえでの目標設定の順番や教育を受ける順番を間違えると、思い描く通りの人生を送ることができなくなりかねない。

 人は人生の過程で様々なことに出会う。人のために良かれと思ってしてあげたのに、真意が伝わらず残念な思いをしたり、それでも忍耐するなどすると人格が成長・完成していく。ある程度人格が成長していないのに結婚して子女をもうけると、離婚したり、最悪の場合は育児を放棄し子供を虐待することにもなりかねない。「家庭の形成」の前に「人格の成長」の目標設定をすることが重要ではなかろうか。

 また、困っている人を助け、社会を良くしたいという「社会貢献」に対する思いは、自分の子供が独立した後、とりわけ強くなるようだ。さまざまな人のお陰で生きてこられたことに対する感謝の念と、次世代に少しでも良い社会を残してあげたいという親心がそれを支えている。「家庭の形成」を終えて、自分の職業分野や社会的立場が明確になってきてからの方が、現実的で力強い「社会貢献」の目標設定ができるような気がする。つまり、人生における目標設定は原則として、「人格の成長」、「家庭の形成」、「社会貢献」の順番で行うことが良いように思う。
 
 子どもに与える教育の内容についても順番が大切だ。「知識・技術教育」の前に「規範教育」を行うことが必要だ。コンピュータに関する知識や技
術が傑出しているからといって、人に迷惑をかけてはいけないことや社会人としての規範を教えずに、知識や技術ばかり身に付けさせると、ハッカーになって社会に多大な被害を与えることにもなりかねない。生命工学に対する関心が強いからといって、生命倫理や人間の尊厳性に関する教育を怠ると、人が踏み込んではいけない領域にまで踏み込み、世界に脅威を与えるかもしれない。

 ただ、「規範教育」は子どもの心を耕したうえで行わないとうまくいかない。校則という規範を生徒に守らせようとただ声高に要求しても、教師と生徒の間に信頼関係や情的なつながりがないとうまくいかない。法律という規範を子供に守らせようと親がどれだけ法律を教えても、幼少のころに親から愛情を注がれずに育ったり、真美善の価値の大切さに気付かせるような「心情教育」がなされていないとうまくいかない。「規範教育」の前に「心情教育」をすることが重要ではなかろうか。つまり、子どもに与える教育は原則として、「心情教育」、「規範教育」、「知識・技術教育」の順番で行うことが良いように思う。

 家庭内における愛にも順番がある。子供にすれば、自分の命の出発点である父母がいがみ合うと、自分たちの魂が傷つけられていると感じる。「夫が1番、子どもが2番である」(桜田淳子著『アイスルジュンバン』、集英社)。
 留置権・先取特権・質権および抵当権は担保物権と総称されます。担保物権とは、債権の弁済を確実にすることを目的とする物権という意味です。この4つの担保物権のうちで、留置権と先取特権は、ある特殊の債権について法律上当然生ずるものなので、あたかも特殊の債権の効力が特に強くされているような働きをし、法定担保と呼ばれます。これに対し、質権と抵当権とは、当事者が契約をしてこの権利を設定し、特に債権の弁済を確実にすることに利用する権利で約定担保と呼ばれます。

 この4つの担保物権のほかに、判例法で明らかにされた特別の担保物権があります。それは譲渡担保と呼ばれるものであり、担保の目的のために、所有権その他の権利そのものを債権者に移転し、債務が弁済されたら、その権利をまた債務者のところに戻す、という法律構成をとっています。その他に仮登記担保とか所有権留保というような方式のものも行われています。

 保証や連帯も特定の債権の弁済を確実にする働きをします。ただそのやり方は、特定の財産から優先的に弁済を受けるのではなく、特定の財産を取り上げて心理的圧迫を加えるのでもなく、主たる債務者か、連帯債務者のうちで実際に金銭を借りて使用した者から取れない場合にも、保証人または名義を貸した他の連帯債務者からも弁済を受けることができるというものです。この保証人または連帯債務者から弁済を受けるときの目的物は、保証人または連帯債務者の全財産であって特定の財産ではありませんので、担保物権とはなりません。さらに、その保証人や連帯債務者に他の債権者があれば、平等の立場に立ちます。

留置権

 「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」(295条第1項前段)とあるように、留置権の成立要件は、留置権を取得する者が他人の物を占有しているということと、その者が債権を持っていることという2つです。ただその債権は「その物に関して生じた債権」でなければなりません。例えば、その物に有益な費用を投下してその物の価値を高めた(店に設備を据え付けた等)とか、必要費をかけてその物の価値を保存した(家屋の雨漏り修理等)という理由に基づいて、引渡しを請求する者に対して、費用償還請求権を持っているような場合です。留置権の効力の中心的なものは、留置権者がその物の引渡しを請求した者に対して、留置権のあることを主張して、その引渡しを拒絶することができることです。

 先取特権の303条や質権の342条、抵当権の369条の3つの規定においては、「その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」と書いてあり、優先弁済権があることが示されています。よって、先取特権・質権・抵当権は、民事執行法によって競売をすることで優先弁済を受けることができます。しかし、留置権では295条で「その物を留置することができる」といっているだけで、優先弁済に関する記述はありません。

先取特権

 先取特権は、非常に多くの種類を含む広範な制度で、民法の条文もたいへんな数にのぼっています。債権者平等原則という民法の原則をねじ曲げるものであり、場合によっては早い者勝ちという物権編の大原則すら曲げてしまうものです。先取特権には一般の先取特権と特別の先取特権があります。さらに、特別の先取特権は動産に成立するものと不動産に成立するものがあります。一般の先取特権は債務者の財産であれば動産、不動産、債権などすべてに成立可能です。これに対し、動産や不動産の先取特権は特定の目的物のうえにだけ成立します。