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This is the archive for May 2010

2010/05/15

 異業種交流会や勉強会は、それぞれ運営の約束事やルールを決めて行われることが通例だ。概して多くの勉強会では、政治的・宗教的発言や自社の商品説明に関する発言をタブーとしている。それは、無用で場違いの対立を招き、会合開催の趣旨から逸脱してしまうことを事前に抑制しようとの配慮の表れだと思う。その意味では、発言タブーを設けることもひとつの見識だと思う。反面、そのようなルールを設けると、人生の本質を考える機会や行動への情熱を身につける機会が奪われてしまうとも感じる。

 異業種交流会によっては、会員相互の取引を活発にすることを目的に行われているところもある。それを目指さない勉強会等においては、「商品説明禁止」にしておかないと、自社製品販売を目的として参加する人が増えてしまう懸念がある。その限りにおいて禁止に賛成ではあるが、「どのような商品やサービスが人の心を豊かにそしてタフにするか」とか「国力を高める商品やサービスは何か」という論点の議論まで抑制してしまわないか。

 有償であれ無償であれ自分が他者にしてあげれることを相互に紹介し合う文脈の中で、自分の扱う商品やサービスを紹介する機会があってもよいのではなかろうか。誰かから求めたいと思っていた商品やサービスにたまたま出会えば、ご縁を持てた会合参加者から求めることができ、情報の付加価値を期待することもできる。

 「宗教的発言禁止」や「政治的発言禁止」の趣旨は、自分の所属する特定の宗教・政治団体を宣伝し他の団体を批判することを禁止するとの趣旨であろう。その限りにおいて禁止に賛成ではある。

 しかし、宗教においては「一神教が人生に与える影響と仏教が人生に与える影響はどう違うか」とか「宗教は過酷な戦争を引き起こすので世界平和のためにはない方がよいのではないか」というような論点、政治においては、「国家の役割は防衛や外交等、民間ができない最低限のことに限った方がよいかそれとも福祉国家を目指すべきか」とか「国の発展の指標はGDP(国民総生産)が良いか、ブータンが用いているGNH(国民総幸福量)が良いか」等の重要な論点まで議論できなくなってしまわないか。

 勉強会を運営する上でどのようなルールを設けるかは、もちろん主催者の自由である。とはいえ、せっかく時間とお金を使って会した人々にとって、より良い成長の機会となるためには、「発言タブーはなし」として、商品説明や宗教的・政治的発言が、自社を利することのみを目指した時や党派性を帯びた時には発言を止めさせる権限を、主催者側が持つことにした方が良くはないか。

 その方が、参加者は自己の信念をより普遍的に表現する訓練になる。一方、主催者側は、発言停止の判断を下す立場なので責任が重く誰よりも成長できるだろう。「君子危うき(発言自由による危険)に近寄らず」より「虎穴(発言自由)に入らずんば虎児(発言自由による恩恵)を得ず」を多としたい。
 主として特許権について、侵害に対する攻撃と、侵害の主張に対する防御について述べ、他の知的財産権についても触れます。

侵害に対する攻撃

 特許権の侵害行為とは、権限なく第3者が特許発明を実施することです。特許権者は、自らの権利を侵害されたと考えたならば、その権利範囲を客観的に解釈し、相手の侵害の事実を正確に把握するようにします。そして、権利が侵害されていると判断されれば、次のような措置を取ることが検討されます。

①製造・販売・貸与・使用・輸出・輸入等の各差止請求
②損害賠償請求
 特許法では損害額について、侵害者が侵害物を譲渡したきは、譲渡数量に特許権者の販売物の単位数量当たり利益額を乗じた額、侵害者が侵害行為によって利益を受けているときはその利益額などと定めています。米国では、意図的な侵害などの場合に、認定された賠償額の3倍までの増額ができるとされています。
③不当利得返還請求
 損害賠償の請求と不当利得の請求は、同時に両方ともできますが、実際には、不当利得返還請求権の時効期間が10年なので、損害賠償請求が3年の時効にかかった場合に有用です。

知的財産法・関連法に基づく請求の特徴

 知的財産権の侵害行為は、①特許法、②実用新案法、③意匠法、④商標法、⑤著作権法、⑥不当競争防止法によって、刑事罰と民事上の差止や損害賠償請求ができます。⑦民法に基づいては、損害賠償の請求しかできません。したがって、例えば、営業上の表示関係で紛争が生じたというケースならば、できるだけ④商標権、③意匠権等で対処をし、それがダメなら⑤著作権で考え、さらにダメなら⑥不正競争防止法に元づいて相手方の行為を止められないかという風に考えます。もちろん、これらを組み合わせて使うことも可能です。いずれでもダメならやむを得ず⑦民法(不法行為)によるしかありません。

侵害の主張に対する防御・反撃

 特許権侵害の警告を受けた場合は、冷静に、特許庁の登録原簿、特許公報により相手の特許を調査します。また、出願から登録までの出願経過も調べます。相手主張の侵害理由が不明確であるときは、具体的な説明を求める回答をします。

 そして、先使用権の主張(他人の特許出願の際、その発明の実施である事業またはその準備をしている者は、実施または準備している発明及び事業の目的の範囲内で、通常実施権を有します)ができるかを検討し、必要なら特許庁に無効審判の請求(登録の要件を欠くにもかかわらず登録されているとき、特許庁に対し登録の無効を求めること)をし、包袋禁反言(ほうたいきんはんげん)の主張(権利者の出願過程での言動に反する主張は認めないとする論理)も検討します。当方が権利侵害をしているならば、相手特許を回避する方法を探したり、相手に実施料を支払って実施許可を受けるように交渉するなどの措置が考えられます。