自 分
知っている 知らない
他 知っている 開かれた窓 気づかない窓
者 知らない 隠された窓 未知の窓
人間は、コミュニケーションを通して相手をより深く知ろうとする。上に示す「ジョハリの窓」と呼ばれるモデル(ジョセフ・ラフトとハリー・インガムという二人の心理学者が考案した)が、その方策を考えるうえで参考になりそうだ。
自分のことについて、自分が知っていることと自分でも知らないことがある。また、自分のことについて、他者が知っていることと知らないことがある。すると、自分のことについて自分も他者も知っている「開かれた窓」、自分は知っているが他者は知らない「隠された窓」、自分は知らないが他者は知っている「気づかない窓」、自分も他者も知らない「未知の窓」の四種類の窓が、自分のことについてあることになる。
コミュニケーションをとるというのは、このうち「開かれた窓」を大きくすることを意味する。身近なところでできそうな仕掛けを紹介しよう。
「隠された窓」を小さくし「開かれた窓」を大きくするのは自己開示である。その典型例は自己紹介だが、人は場や状況を見て自分のことを話すので、率直に言える場作りが必要だ。
たとえば、全体の前で各自が自分のことを五項目紹介するとして、そのうちの一項目に嘘を紛れ込ませておく。一通り自己紹介が終わった後で、その嘘を言い当てるというゲームがある。嘘を見破られまいとしてこれまで言い出す機会のなかったことを紹介しやすくなり、自己開示の効果は抜群だ。
もう一つは、「気づかない窓を」小さくして「開かれた窓」を大きくするフィードバックだ。自分も知らない自分のことを他人から指摘されるのだから、うまくやらないと感情的対立を招きかねない。ファシリテーションを学ぶ定例会では、これを合意の上、意図的に行う。あるテーマについて進行役のファシリテーターを中心に話し合いをした後のフィードバックのセッションで、ファシリテーターの進め方の中で、良かった点、問題点、改善点を率直に指摘し合うことにより、気づきを得ることができる。
自己開示とフィードバックによって驚きとショックがもたらされる過程で、相互理解も深まっていく。
人は人によって成長する。コミュニケーションの仕掛けを開発し習熟すれば、喜びと感動に出会うことができる。
Posted by oota at 09:54 AM. Filed under: 随想・評論(平成20年)