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This is the archive for March 2006

2006/03/15

規制改革ビジネスと官業の民間開放

 昨年の衆議院選挙での自民党の圧勝により、規制改革・官業開放が加速する気配です。

 規制改革の具体例としては、新車の新規登録の電子化・ワンストップ化、公務員経費のカード決済、医療機関に関する広告規制の緩和、銀行代理業の一般事業会社への解禁等があります。それぞれ、コスト削減、取扱商品や市場の拡大、新しいビジネス手法の確立、ビジネスのスピードアップ等の効果が期待されます。
企業に事業機会をもたらすのは、このような規制の改革だけではありません。官が提供している公共サービスが民間に開放されれば大きな市場を生み出します。その経済効果は50兆円を下回ることはないとも言われています。お役所仕事を取ってくる手法は、大きく分ければ4つあります。

①市場化テスト…役所と民間企業が競争入札で行政サービスの担い手を決める仕組み

②構造改革特区…地域限定で、特定の法令の効力を失効させることができる仕組み

③指定管理者制度…地方自治体が保有する公共施設の管理運営を民間企業に任せること

④PFI(プライベ^ト・ファイナンス・イニシアチブ)…国や自治体が策定した公共施設建設計画に関し、民間の資金や技術を活用して新規の公共施設を建設し維持していくこと

市場化テスト

 官業を市場の競争にさらすという意味の「マーケットテスト」が語源で、英国のサッチャー政権が80年代に初めて導入しました。官のサービスの代行希望者を民間から募集し、管轄省庁が市場化テストを実施して落札者を決定します。本格的導入は今年の通常国会で「公共サービス効率化法」(市場化テスト法)が通過してからですが、試験的取り組みであるモデル事業は昨年春から始まっています。

 実施されているモデル事業としては、厚生労働省関連の生涯職業能力開発センターでの職業訓練、社会保険庁関連の国民年金保険料の収納代行、法務省関連の刑務所の運営業務等があります。

 昨年11月には6種類(①住民票の写し②戸籍謄本③外国人登録原票の写し④納税証明書⑤戸籍の付票の写し⑥印鑑証明書)の証明書を発行する地方自治体の窓口業務を入札対象とすることを決めました。

 これらの窓口業務は住民のニーズが高く、利用時間延長や夜間・休日対応が可能になれば利便性が向上するとして、政府の規制改革・民間開放推進会議が入札対象とするよう提案し、所管する法務・総務両省が了承したことにより、今年度にも民間参入が実現します。

 また、今年の6月からは、「駐車違反の摘発業務」が民間委託されます。民間委託は都道府県単位で行われ、警備、ビル管理、輸送関連等、年中車で移動している中小企業が狙っています。

 市場化テストは4つの官業開放手法の中でも最も大きな額の市場開放が実現できると期待されている最重要の手法です。
 「同じ戦うなら目標を立ててやるんだ」と偉人は言う。

 一朝一夕には実現できない目標でも、設定するとアンテナが張られ情報が集まり出す。普段と同じ道を歩いていても、目標に関連したことは、見落としていたことが見えてくる。磁石の上に紙を置き、その上に鉄粉をまくと、鉄粉は秩序正しく磁場の磁力線のパターンを描き出すように、いずれはやりたいと思っていたいくつものことが、目標を中心として優先順位がついて行動計画が立てられ、今日すべきことが明確になる。夢に方向を与える目標設定の力は強烈だ。

 私は、大人、特に子どもの親が、自分の人生や職業について子ども達に多くを語ることが、目標設定を促すうえで効果が大きいと思う。

 東京都町田市の中学校では学校を挙げて、保護者や地域の人材を「社会人先生」として学校に招き、教科の授業や道徳、人生講話等をしてもらう試みをしたという(4年間で100人以上)。すると、落ち着きのない子も問題傾向の子も、姿勢をピッとし、目を輝かせて傾聴したという。講師がわが子のいる教室で授業をしたとき、親子の絆が格段に深まった例がいくつもあるという(読売新聞、平成16年1月13日)。
 
 中学、高校では、14歳の挑戦プログラム(中学2年生が事業所や福祉施設など実際の大人社会の中に身を置き一週間働くこと)や、教師・父兄・生徒の三者による懇談会等が企画されているが、目標設定を促すという意味では、「社会人先生」による講話は、これらに優るとも劣らない方法ではなかろうか。

 なぜなら、「社会人先生」は子ども達が将来なる家庭人や職業人の一つの実例であるので、複数のそのような具体例に接していく中で、身につけたい人格や選びたい職業が次第に明確になっていくと期待できるからだ。ゴールイメージ(達成した状態のイメージ)が明確になれば、目標設定しやすくなる。

 目標設定を促すうえで、感動の力も強力だ。

 愛知県豊川市の私立豊川高校の数学教師、宮本延春(まさはる)氏は、中学時代オール1の通知票をもらい、「やっぱりおれはバカなんだ」と自分を見放した。就職して働いていた23歳の時に、ある人から「光は波か、粒か」をテーマにアインシュタインの理論を解説したテレビ番組の録画ビデオを渡され、見終わったときには味わったことのない気持ちでいっぱいになったという。感動した宮本氏は、「大学に入って物理学を研究する」という目標を設定した。九九のマスターや小3用のドリルから始め、定時制の高校で学び、名古屋大学理学部に合格したという。学部と大学院で宇宙物理学を専攻し研究に没頭したが、自分の経験が一番役に立つのは教師だと思い立ち、母校の教壇に立つようになったという(読売新聞、平成18年3月5日)。

 子ども達に感動を与え、ゴールイメージを持たせることができれば、自分から目標を設定して歩き始める。「勉強しろ」と言う必要は全くない。