ある会主催のワークショップ(参加型体験学習)に何度か出た。良くプログラムされた運営方法で、とても楽しく時間の経つのが速かった。
運営方法を簡単に紹介しよう。まず初めて会う人々が打ち解けて意見を出しやすい状態を作るために、自己紹介や体を動かす活動「アイスブレイキング」をする。そして参加者を振り分け(5~6人のグループをせいぜい5~6)て、各グループで討論をする。討論では皆が自分の意見を出せるよう、一つの意見を一つの小さな紙片に各自が書いていく。特定の人が支配することがないように、「今日一番早く起きた人は頭がすっきりしているから司会をお願いします」等と言ってグループ運営上の役割を決めてしまう。
KJ法等を用いて、意見が書かれた紙片を大きな紙に貼り付けていきながら、皆で意見を集約していく。全体発表の場で、グループの代表者は自分のグループの意見を発表する。他のグループの意見にも耳を傾け、議論を深めていく。
参加型体験学習がうまくいくためには、事前に、スタッフが、タイムスケジュールを検討しておくなど、周到な準備が必要だ。なかでも大切なことは、会を進める人の育成だ。
参加型体験学習の進行役、ファシリテーター(「促す人」の意味)は、先生でないから教えないし、指導者でもないから命令もしない。参加した人が自由に楽しく本音が言えるような場作りと進行をして、時間通りに終わるように導くのが役割だ。
ファシリテーターは出てくる意見を吸い上げることが大切だ。「それは違うよ」とかは絶対に言ってはならない。Aさんの意見が正しくBさんの意見が間違っていると思っても「AさんとBさんの意見が異なっていますね。どうしてでしょうか。どう思われますか」と導いていく。ユーモアの心と参加者一人一人を大切に思う気持ちがないとうまくいかない。
奇跡を起こすインドの宗教家サイババは、ある時ジャーナリストから「あなたは神か」と尋ねられた時、「そうだ」と答えたという。続けて、「あなたも神だ。ただ私とあなたの違いは、神であることを知っているか知っていないかの違いにすぎない」と答えたという。
どんな問題やテーマでも、体験したことがあれば、解決策は神の似姿(聖書)である人間はそれぞれ持っている。それを意識レベルにまで引き出して、実践するかどうかが問題だ。優れたファシリテーターが進行する参加型体験学習によって、奇跡のような成果が出せるかもしれない。
Posted by oota at 06:07 PM. Filed under: 随想・評論(平成17年)