『日本の道徳教育は韓国に学べ』(杉原誠四郎、文化書房博文社、2007年)
 戦前の日本の学校には「修身」という道徳教育の教科があった。戦後の占領期に、ある日本の教育学者が「社会科」開設の話を占領軍に持ち込み、「社会科」は子供の社会生活を包む科目だったので、「修身」は民主主義と両立する優れた教科書であるとの認識が占領軍にあったにもかかわらず、「修身」の再開は必要がないと判断された。
 この「修身」廃止の過程を日本国民は認識することができず、「修身」は非民主主義教科であるため占領軍によって廃止させられたという誤解が生まれた。昭和33年に道徳教育を強化しようと特設「道徳の時間」を設け道徳教育再生の努力は続けられてきたが、この誤解を晴らしてなされたものではなかった。結果として、子どもたちは、議論はいろいろするが、行動規範や心に銘記すべき規範の明示はなく、そのために規範を身につける訓練の過程のない道徳教育となった。
 一方韓国では李朝末期、日本の統治下、日本に倣って編纂発行していた「修身」の教科書が用いられていた。戦後、戦前の過去の否定という動きが生じず、よいものはよいとして事実上「修身」の教育遺産が継承された。

『道徳の練習帳』(ミシェル・ボーバ、原書房、2005年)
 多くの子どもたちが深刻な問題を抱えている原因は、彼らが道徳力を身につけられなかったせいであることが分かったとして、7つの徳目の重要性とチェックシート、身につけさせるための3つのステップを徳目ごとに説明する。
 7つの基本的徳性は、共感、良心、自制、尊敬、親切、寛容、公平であるとし、最初の3つ、とりわけ共感が、特に重要であるとする。例えば共感力を高めるには、①意識を高め、〝気持ちを表す語彙”を増やす②人の気持ちを感じ取る感受性を高める③ほかの人の考えに対する共感を育てる、というステップを示している。そして、アリストテレスが「われわれは自らが繰り返して行うことの産物である」と言っているように、親が徳目の大切さを何度も言い聞かせ、子どもに道徳的行いを反復練習をさせることが重要で、そうして初めて親の手を離れていくことができるのだとする。
 著者は全米で最も信頼される教育コンサルタントで、国内外で主催したワークショップの参加者は50万人を超えるという。

『「人格教育」のすすめ』(上寺久雄監修、コスモトゥーワン、2003年)
 本書は「どうすれば有意義で充実した人生を生きられるか」「人間が幸福になるためには何が必要か」「家庭や学校、地域社会において、子どもにどのような教育を与えれば、人間として成長し本当の幸福を獲得できるか」という本質的で重要な問題に対し、深く詳細な調査結果をもとに論述されている。パート1「高まる人格教育への課題」では、人格教育の核心は個性重視ではなく人格重視であるとし、道徳的価値が普遍性を持つための基準(民主主義的コンセンサス、哲学的検証、比較文化による論証、人間の本性的根拠、自然法的根拠)を説く。
 パート2「家庭は愛の学校」の結婚のための準備を説明するなかでは、未熟な愛と成熟したIとの識別方法を説明し、パート3「青少年が直面する性の脅威」では、婚外の性行為がもたらす影響を説明する、極めて良心的で示唆深い内容が盛り込まれている。