「永遠の〇」
 主人公の祖母が亡くなりその夫が深く悲しんでいる。しかし、主人公はその人が本当の祖父ではなく、自分の祖父が別にいたことを知り、ジャーナリストの姉と共に、祖父の人物像を知ろうとする。宮部久蔵という名前の祖父を知る人に会うと、決まって逃げ出す卑怯な人という評価を得るが、それでもさらに深く知ろうとしていく中で、死を恐れることなく自分の利益を超え妻子のために生きて帰ることにこだわっていた人物と知る。しかし、最終的には特攻隊に志願し亡くなっており、どうして志願したのかという疑問に至る。そのときはじめて、祖父と思っていた人が真実を語り始める。

「そして父になる」
 病院で6年前に、看護師の作為により男の子を取り違えられた2組の夫婦が、その事実を病院より知らされ、6歳になった息子が自分たちの息子でないことを知り悩む姿を描く。福山雅治演じるケイタの育ての父はエリートコースを歩んできたので、息子にも努力を厳しく要求するが、相手の気持ちを考えることを学んで、ようやく父親になっていく。

「ゼウスの法廷」
 鹿児島の大家族の中で育った女性中村惠がお見合いで東大法学部卒の裁判官加納と婚約をして一緒に生活をするが、すべてが法律的感性の夫に心が行かず、大学時代の元カレ山岡と再会し肉体関係にまで及ぶ。夫と別れてその元カレとアメリカへ行く話をしようとアパートを訪問すると、山岡は別の女性同伴で帰宅してきた。口論となり重過失により惠は山岡を死に至らせてしまう。その場を去ったものの警察に出頭した。
裁判所は判事の妻の犯罪ということでマスコミや世間の目を恐れる。それならと、加納は自らがこの案件の裁判官になると志願する。

「脳男」
 生まれながら感情や意欲を持つことなく、食事することすら言われなければしないものの、脳の力は異常なほど発達している男(脳男)の数奇な運命の話。爆発現場にいた脳男がとらえられ、その精神鑑定を女医が任される。異常な脳波や心電図から感情が起こるのが異常であることが分かる。女医はあなたはロボットなんかではないと人間性の回復を手助けしようとし、その出自を調べ始める。脳男の父母は交通事故で死に、祖父が世の中に復讐をしようと、感情を表さない孫に、殺人の方法を教えていく。そのようにして正義感あふれる殺人ロボットができたのだった。繊細な心理描写が秀逸な作品だ。

「バベットの晩餐会」
 デンマークの海に面した片田舎に、カトリックの神父と2人の美しい娘がいた。遠方から美しい娘を見にやってくるが、父親は娘たちは自身の両腕だとして嫁がせようとしない。姉には将来将軍になる軍人が思いを寄せ、妹にはパリの歌手が思いを寄せるが父親ゆえに自ら去っていく。年月が経ち、革命がおこったフランスからバベットという女性が革命で行き場を失い、パリの歌手からこの場所を紹介されたとして流れ着き姉妹とともに住み始める。この女性が、宝くじで得た大金をすべて使って、姉妹と村の住人のためにパリ最高級レストランの料理を、過去の料理長の経験を生かしてふるまう。心温まる映画だ。